半田鏝温度コントローラー

セラミックヒーター半田鏝の温度コントローラー

・セラミックヒーターの抵抗値が温度によって大きく変化することを利用する
・同じ仕組みで60Wまでのニクロム線ヒーターの半田鏝も制御可能


2017-03-02

半端整流してコンデンサを入れると定格の6~7割電力を上げることができる。電圧はダイオードの電圧降下(Vf)を無視すると最大141V。コンデンサーの容量が無限なら141Vの直流駆動になる

最終形回路とプログラムはキットのページを参照

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スライダックで電圧を上げて確認。上のシミュレーションから半波整流に100μFのコンデンサーを入れると実効値130Vの交流を加えることにほぼ等しい。半田が溶け始める温度になるまでの時間を計測すると
 100Vの時65秒
 130Vの時40秒
温度調節機能付きのPX-501は25秒。市販品にはかなわないが加熱速度を5割向上出来ることが確認できた

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回路図構想。他の作品から寄せ集めたものなのでパスコンがやや多すぎPC1はPC817で良い。100VとはフォトカプラーやCTセンサーで絶縁する。半田鏝の通電を切ってしまうと電流検出不能になるので切った後は一定時間後に必ずONするようソフト制御する。結果的に制御周期一定でON比率が変化することになる。CTセンサーは交流しか計測できないのでブリッジの手前に入れることになる。半田鏝に流れる電流を計測するというよりコンデンサC2の充電電流を計測するような感じになる。コンデンサーに充電された電力のほとんどは半田鏝のヒーターで消費される。ゼロクロス回路は50Hz,60Hz自動認識のために入れてある

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2017-03-04

基板パターン。電源はテストに不要なので外した

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最新のPICはかなり進化している。オペアンプ、基準電圧、ゼロクロス検出回路などアナログ系の回路が追加されている。これを使ってしまうと回路図を見ても何をしているのか全くわからなくなってしまう

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2017-03-05

PIC16F1716に変更してみた。アナログ系回路はほぼ全部PICの内蔵機能でまかなえる。ゼロクロス回路はAC100Vと非絶縁になるのでフォトカプラーなどを全部取り去った。電源も非絶縁のトランスレスに変更。非絶縁にしたことによっても若干シンプルになっている。電流検出もCTを使わず1Ωの抵抗に変更。R14,R12の理解不能な抵抗はオペアンプの非反転増幅回路。基準電圧やA/Dコンバーターはソフトの設定で繋ぐことができるので解説を入れたり OPAMP+ OPAMP- といったテキストを回路に入れておかないと設計者本人も分からなくなる

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2017-03-22

内蔵オペアンプを使ったことが無いので実験。特にこれといった考慮点無し。実験基板を作った

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2017-03-24

AC100Vとパワートランジスターを除いて半田付け終了。背の高いコンデンサ2個はケースの上に出てしまう

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2017-03-30

ソフト開発。トランジスターは発熱殆どなし。電流検出抵抗のほうが熱くなる

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PIC16F1716はEEPROMが無かった。EEPROMが無いと設定値を記憶できない。PIC16F1783に変更。しばらく中断

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2017-03-31

現時点の回路図。ゼロクロス検出を廃止。DC141Vの電圧を計測するように変更。コンデンサC3が100μFと小さいので電圧がかなり変動する。それでも電源を入れたときのコンデンサへの突入電流がかなり大きくコンセントでアークが出る
YouTube動画  半田鏝温度調節装置テスト

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2017-04-01

30W程度のニクロム線半田鏝なら同じ回路ソフトで制御できる。60Wになると0.16Ω程度の計測が必要になり現在のハードではノイズが多すぎる。ニクロム線の抵抗値変化は大体10度で0.1%
YouTube動画  半田鏝温度コントローラー ニクロム線半田鏝の自動温度調節

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2017-04-03

回路を微修正。表示している値は抵抗値x10。206.1Ω。この半田鏝は製品仕様上60Wであるが実測200Ωで50W。ノイズを減らすためR14と並列に0.001μF。R9が大きすぎるので300Ωに変更。1kのまま50Wの半田鏝をつなぐとパワートランジスターが異常発熱する。このトランジスターはHfeが最小で70しかない。ソフトは丁度半サイクル分の平均を取るように変更。これで0.3Ω程度の分解能が得られている。60W程度の半田鏝も制御可能になった。R12はディレーティング不足なので200kを2本並列に変更
ワット数の大きい半田鏝は焼け気味で短時間使うだけの用途が多いので温度制御よりはDC141V駆動することによる立ち上がりの早さのほうが役に立つ感じ。セラミック半田鏝同様4割程度立ち上がり時間を短縮できる。50Wの半田鏝は冷間時199Ω、最適温度(やや焼け気味)の時207Ω

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コンデンサーが無限に大きければリプルは無しになるがC3が100μFだとリプルはこんなにある。電流検出抵抗の電圧をオペアンプで4倍に拡大した後の電圧波形=PICの3番ピンの波形。画面中央がGND。A/D変換は2ch同時には出来ないので電圧が上昇する時と下降するときでは誤差の正負が逆転する。丁度半サイクル分の平均を取れば計測毎の誤差は無視できるため分解能が上がる

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2017-04-08

コンデンサが暖かくなるので1個追加。データシート状のTANδは最悪値で0.2。TANδ=2πfCR。fは周波数、Cは静電容量単位は[F]、Rは直列抵抗成分ESR。50HzにおけるESRは6.3Ωとかなり大きくこれなら発熱してもおかしくない。実測では0.8Ω。増設したほうのコンデンサはを触ってみると冷たいまま。最初からついていたものはやや温度が高くなる。どうやら抵抗の熱が伝わっているようだ。コンデンサを追加したことにより電圧変化が少なくなり計測精度がかなり向上した。
50W、冷間時199Ωの半田鏝が210Ωになるまでの時間を計測
 1:09:56
 1:05:68
 1:11:87
 1:07:85
 1:05:98
  55:99
  59:45
 1:03:25
 1:05:40
 1:06:70
とかなりばらつく。時間帯によってピーク電圧が変化するためではないかと思うが今のところ原因不明。30Wの半田鏝はこれ程ばらつかない。60Wは更にばらつきが大きくなる

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コンデンサ追加

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ESR実測値

2017-04-09

回路規模が大きくなったので基板メーカーに発注することにした。没基板になるかもしれないが片面基板で作るのはかなり面倒

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2017-04-11

基板を発注した。10日待つ。実寸で印刷してみないと部品サイズの間違いには意外と気がつかない

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2017-04-27

基板到着

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2017-04-30

所定の温度になるまでの時間を計測してみた
1:31
1:46
1:41
1:44
かなりばらつく。ソフトをいじって整流後の直流電圧を表示するようにしてみた。抵抗誤差が5%なので絶対精度は低い。AC100Vのピーク電圧は時間帯によってかなり変動しているようだ。2Vは違っている。電圧が1%変化すると消費電力は約2%変化する

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2017-05-10

最終機能構想。注文しておいたスイッチが届いたらプログラムを書き始める。2日以内に届くはず

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 初期設定
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・1項目選択する毎に設定値は保存されるのでキャンセルしたいときは途中で電源を切る

1.エンコーダーの軸を押しながら電源ON
2.半田鏝番号の選択、周波数設定、バックアップ
   エンコーダーを回して半田鏝番号を選ぶ
   半田鏝は最大10本設定できる
   鏝番号は「 -1-」「 -2-」のように表示される
   11,12番目は周波数設定。表示は50Hz「F 50」60Hz「F 60」となる
   13,14番目は設定値のバックアップ復元
    「bUP 」全データをバックアップ
    「rES 」全データを復元
   軸を長押しするとモード選択に移行
   短く押すと鏝番号の変更だけが行われ実行モードへ移行、周波数の場合は周波数が記憶されるだけで次の項目へ移行しない
   周波数だけの設定をやりたい場合はここで電源を切る、バックアップ復元も同様
   周波数の初期値は50Hz、設定が違っていると若干計測精度が落ちるだけで動作に大きな影響はない
   バックアップ、復元中はアドレスをカウントアップ。実行するとSAVEと0.5秒表示される
3.モード選択
   「AUtO」:ヒーターの抵抗値による自動温度制御
        これを選択した場合設定はこれで終了
        実際の抵抗値は設定モードでは無く実行モードで設定する
        内部的には設定されていた抵抗値をここでリセットしている
        実行モードでは抵抗値がリセットされていたら最初の通電時に設定動作を行う
   「duty」:ONデューティーによる制御
4.加熱時間
   初期電源投入時はONデューティー100%で加熱して鏝先の温度を一気に上げる
   電源投入後何秒間ONデューティー100%にするか入力
   入力可能な値 0~120秒
   初期値 60秒
5.ONデューティー
   入力可能な値 0~70%
   初期値 35%
   AC100Vを全波整流しているので電圧は141Vある。安全のため100/141=70%以上にはならない

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 実行モード
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ONデューティーによる制御:
 ・このモードの場合は設定値入力済みなので設定された値で制御が始まる
 ・このモードの時はトグルスイッチは使われない
 ・加熱時間中は秒数をカウントダウン、加熱後はデューティーが表示される
 ・エンコーダーの軸を押すと20秒だけONデューティー100%になる
  表示は秒数をカウントダウン
  カウントダウン途中で軸を再度押すと元のONデューティーに戻る
 ・エンコーダーを回すとONデューティーが1%単位で変わる
  電源初期投入時のカウントダウン中はこの操作は無効
 ・加熱時間は実行モードでは変更できないので初期設定で行う
 
ヒーターの抵抗値による自動温度制御:
 ・このモードでは黄色LEDが点灯する
 ・抵抗値がリセットされていると自動温度制御は開始されずに以下の順番で抵抗値の初期設定が行われる
   1.画面の表示は「-GO-」となっている。ここでエンコーダーの軸を押すと
     ONデューティー100%で加熱が始まる
     過熱が始まると赤LEDが消える。加熱されていないときは赤LEDが点灯している
   2.画面表示は抵抗値を表示している
     加熱に伴って抵抗値が上昇していく
     半田を溶かしてみて溶け始めたら軸を押す
     通電してからこの抵抗値になるまでONデューティー100%で加熱が行われる
     これが鏝の「最大温度」になる
     鏝先に熱が伝わるまで遅れがあるためこの時ヒーターは過熱状態になっている
   3.上記で設定した抵抗値で制御し続けると鏝が焼けすぎるので
     エンコーダーを回し実際に半田付けしながら最適な温度(=抵抗値)を見つけ出す
     確定したら軸を押す
     これが「通常温度」になる
     これで設定完了
     設定途中で電源を切ると1.からやり直しとなる
 ・設定が完了しているときの動作
   -トグルスイッチをHにすると最大温度で制御される。これはベタパターンなどを半田付けするときなど鏝を過熱させたいときに使う
   -トグルスイッチをLにすると通常温度で制御される
   -エンコーダーを回すと抵抗値が変更される。これは一時的なもので電源を入れなおすと設定値は元に戻る
    トグルスイッチがHの時は最大温度の抵抗値が、Lのときは通常温度の抵抗値が変わる
    軸を1秒長押しすると「SAVE」と表示されトグルスイッチの位置に応じた設定値が記憶される
    通常温度(の抵抗値)は最大温度以上には設定出来ない

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 表示
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電源投入時
 7セグメントLEDに
   周波数 0.5秒間
   鏝番号 0.5秒間
   制御モード 0.5秒間
   目標の抵抗値/デューティー 0.5秒間
 の順番で表示される

抵抗値による自動温度制御時
 ・7セグメントLEDは抵抗値が表示される
 ・黄色LED点灯
 
デューティー制御時
 ・7セグメントLEDはデューティーが表示される
 ・黄色LED消灯

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 エラー
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「E---」
  意味:半田鏝未接続
「E Fr」
  意味:周波数設定がされていない
  対応:初期設定を実施
  原因:初期設定をやっていない
「E d1」
  意味:デューティー制御モードにおいて加熱時間が未設定だった
  対応:初期設定をやり直す
  原因:設定中に電源を切った
「E d2」
  意味:デューティー制御モードにおいてデューティーが未設定だった
  対応:初期設定をやり直す
  原因:設定中に電源を切った
   

2017-05-15

スイッチを押していないのに押したことになってしまう問題発生。オシロスコープで見ると盛大にノイズが入っている。電源のノイズと周波数が同じなのでパターンが近すぎたのが原因

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ノイズ

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スイッチング電源の電圧

100Vでスイッチングしているものが近くにあると10kΩでプルアップしても電圧が変化してしまう。パターンの距離は50mil。4.7kΩでプルアップすると誤動作しないレベルに収まる。絶縁されているので0.1μFのコンデンサを入れて対策。これでノイズの影響はほぼ完全になくなるが本来は距離を取って隔離すべき

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ソフトは9割完成。ONduty35%で制御しているときの表示

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2017-05-22

半田鏝の抵抗値比較。抵抗値は左が通電してから半田が溶け始めた時のもの、右はちょうど良い温度の時の抵抗値
60Wニクロム線:169.3Ω 163.0Ω
50Wニクロム線:208.0Ω 204.0Ω
20Wニクロム線:395.4Ω 390.0Ω
15Wセラミック:758.0Ω 610.0Ω (HAKKO)
15Wセラミック:587.5Ω 520.0Ω(goot)
20Wセラミック:597.5Ω 460.0Ω
抵抗値の差はニクロム線が約5Ω、セラミックが約100Ω

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