DC−DCコンバーターの実験 実験:2007-09-22〜2007-09-25

デジタル時計の電源用にDC−DCコンバーターを購入しましたが、サンプルの回路図の通り接続すればOKとはいきませんでした。テキトーに接続しただけでは取り出せる電流がほんのちょっとになってしまいます。そこでいろいろ実験してみました。使用したDC−DCコンバータはMicrochip社製 MCP1253-33X50I/MS です。


■結論:

  ・チップタイプの積層セラミックコンデンサーを使うべし
     うまくいったコンデンサ:
       村田製作所 GRM230F106Z10 10μF 10V 秋月電子で 20個¥200
       村田製作所 型番不明          1μF ?V 千石電商で 10個¥50くらいだったような気がする
  ・配線は最短にすべし
  ・ブレッドボードは使うべからず
  ・入力電圧はデータシート通り2.7VでOK
  ・余裕を見て50mA程度で使うべし
  ・5番ピンと6番ピンをショートさせたまま通電するとDC−DCコンバーターは死ぬ

   死んだので交換したの図
    

■実験:

実験しやすいようにDIPサイズにしました。


パーツケースの中から適当にコンデンサーを選んでブレッドボードで組み立てましたが、まともに電流を取り出せません。出力側に1kΩ以下の程度の抵抗をつなげると電圧降下してしまいます。しかも出力電圧がふらついてます。出力が5Vなので電流は5mAです。コンデンサーを交換してみると取り出せる電流が大きく変わります。データシートを見ると「低ESRのコンデンサーを使用することを推奨」とあります。ESRって何か知りませんでしたが、コンデンサーの直列抵抗成分のことだそうです。右の写真がその説明。理想的なコンデンサーはCだけですが実際のコンデンサーはESR(抵抗成分)+C(コンデンサ成分)+ESL(コイル成分)を合成した物です、という図。


積層セラミックコンデンサーはESRが小さいらしいのですが、ラジアルリードタイプの物はダメだったのでチップタイプの物を購入しました。全部実験に使うわけではありませんが¥1000近く買いました。


低ESRタイプの電解コンデンサ。東信工業「1HUTWRZ010M」と「1HUTWRZ100M」


OS−CONとかいうやつ。三洋電子部品。「16SL10M」と「16SC2R2M」

「16SC3R3M」と「25SC1M」


型式不明。たぶんGRMxxxxxxの汎用タイプ。村田製作所のチップ積層セラミックコンデンサー。


これも村田製作所の積層セラミックコンデンサー。1μF。


リードタイプの物をいろいろ実験しましたが茶色い東信工業のものが一番良い結果が出ました。しかし、全体的に不安定です。出力に5Vが出たことを確認してから負荷を繋ぐとかなり電流が取り出せるのですが、最初から負荷を繋いでおくと全く電圧が出てきません。GNDを手で触っていると安定したりするのでブレッドボードで回路を組んでいること自体が原因と思われます。


簡単な基板パターンを作りました。理想的にはデータシートにあるようなパターンにするのがいいのですが、DIPサイズに変換した物をそのまま流用することにしました。これだとPress−n−Peelで作れます。理想パターンの方は感光基板でないと無理です。


EAGLE回路図&基板パターン

パターンはPress−n−Peelで転写。コンデンサはミニミニ木製洗濯ばさみで固定して半田付け。この洗濯ばさみは中国製で50個で¥100だったかな。


村田製作所の積層セラミックコンデンサーのセレクションガイドです、今回使用したのはGRMシリーズで、低ESRタイプの物ではありません。


ブレッドボードとあまり変わらないような気もするがテスト基板完成の図。これでも配線は極力短くなるように考慮してます。特に1μFのコンデンサーはもうこれ以上無理というところまで短くしてあります。最短といってもソケットが2段重ねになっているので高さ方向には1cmくらい距離があります。


入力電源線と出力電源線はブレッドボードのままですが、これで良好な動作を示しました。今までダメだったのが嘘のようにうまくいきます。出力電流100mA程度まで取り出せるようになりました。但し100mA取り出すと10秒程度で出力が0Vになります。保護回路が働いている物と思われます。50mAなら連続して取り出せます。右は積層セラミックコンデンサーのインピーダンスの図です。実際は容量によってインピーダンスが一番小さくなる周波数は異なりますが、1μFあたりでは大体こんな感じになるそうです。このチャージポンプDC−DCコンバーターのスイッチング周波数も1MHzとなっていて、積層セラミックコンデンサーのインピーダンスが一番小さくなるポイントをうまく使う仕組みのようです。


部品を使い切ってしまったので、リードタイプの物+プリント基板でどうなるか?については、また買い出しに行ったときにやります。...やらないかも
とりあえずしばらくはこれで実験おしまい



上の2段重ね基板は正常動作と異常動作の境界にいるみたいで、たまに不安定になることがあります。プリント基板を起こす場合はデータシートのパターンに従えば問題ないと思いますが、ブレッドボードで使用するときに不安定だと電圧が正しく出ているのかな?って確認事項が増えるのでもうちょっと安定に動作する基板を作ってみました。プリント基板は秋月電子で10個¥150で販売されているTSSOP8P変換基板です。そこにチップコンデンサーを立体配線しました。この回路だと安定して100mAが取り出せます。上の方で保護回路が働いていると書きましたが、この回路だと安定して100mAが取り出せるので保護回路が動作しているのではなさそうです。