フォークとハンドルを取り付ける

車輪が付いていないとブレーキや変速機などが取り付けにくいので、先ず車輪を取り付けたくなります。車輪を取り付けるためにはフォークが必要です。前輪とハンドルは直角に交わっていないといけないのでフォークと一緒にハンドルも取り付ける必要があります。

■部品を買う

フォークのは値引きは渋いようです。需要も少ないらしく扱っているネットショップでも品数が豊富ではありません。先ず一番入手しにくいフォーク選びから開始した方が良さそうです。海外のショップで買ったら安いかと思ったのですがちょっと探しただけでは安売り店は見つけられませんでした。もっとよく探せば安く売っている所がものあるかもしれません。良心的な部品店ならUS−>日本の送料は航空便で$40程度のはずです。

フォーク

■気にしなければならない規格の種類とバリエーション
 ・ストローク:
    クロスカントリー用、ダウンヒル用ではストロークがだいぶ違います。
 ・コラムの径:
    この径とステムの径が合っていないといけません。
    殆どの物が1−1/8インチ径なのですが、1−1/4インチサイズなど一部例外があります。
    L字型のステムを使うタイプの物もありますが、安物です。L字ステムタイプはむしろ入手難です。

FOXのF80Xというのを買いました。立ち漕ぎしたときにサスペンションがヘコヘコしないそうです。エアーサスペンションなので専用のエアポンプが付属しています。


左右で受け持つ機能が異なるようです。4カ所いじるところがありますがなんだか解りません。走ってみて実験です。



CD−ROMのマニュアル付いてましたが紙のマニュアルと殆ど内容は同じでした。

ヘッドパーツ

フレーム、フォーク、ヘッドパーツは同じ自転車店で購入した方が無難です。フレームやヘッドパーツの加工は高価な専用工具を使用しないといけないケースが多いからです。また店員に聞けばよいので規格についてあれこれ悩む必要が無くなります。

普通は別売品を購入しますが、今回購入したフレームはちょっと特殊なのでフレームに付属してきました。


ハンドル

■気にしなければならない規格の種類とバリエーション
 ・直径:
    握る部分の直径は統一されていますが、中央部分の少しふくらんだ箇所は25.4mmのものと31.8mmの2種類があります。
    31.8mmの物は最新の規格で最近増えてきていますが、まだ数が少ないようです。
 ・材質:
    アルミ製とカーボン製の物とがありますが、カーボン製の物はハンドル両端を切り詰めるとエンドバーが取り付けられなかったり、そもそも取り付け不可だったりします。


上が31.8mm径のハンドル、下が25.4mm径のハンドル。中央部分からボールペンで示した場所まではテーパーが付いていてブレーキ/変速レバーが取り付けできません。太い方がテーパー部の長さが長いためブレーキ位置の自由度は小さくなります。

ステム

■気にしなければならない規格の種類とバリエーション
 ・ハンドルを銜える部分の直径:
    ドロップハンドル用は 26.0mmと31.8mmが主流、MTBのフラットハンドル用は 25.4mmと31.8mmが主流です
    26.0mmと25.4mmでは見た目殆ど同じですが、0.6mm違うと互換性ありません。一方31.8mmはロードバイク用とMTB用は互換性あります。
 ・フォークコラムを銜える部分の直径:
    1−1/8インチの物が主流です。入手できる物の90%以上がこのサイズです。
 ・長さ:
    100mm付近を中心に80mm〜120mmまで1cm単位で長さが異なる物がそろっているのが一般的です。
    最適なポジションは走り込んでみないと解らないことが多いので、買い換えることになる可能性大です。
    そのため、いきなり高級パーツを購入しない方が無難です。
 ・フォークコラムとの角度:
    90度ではなくちょっと角度が付いているのです。フォークの角度は垂直より20度ほど寝ているので、角度が70度ならステムが地面に対して水平になります。
    実際には6度程度の角度が付いている物が多いのでステムは水平よりちょっと上を向きます。

これはロードバイク用。下の組立例のようにシムを自作すればMTBにも使えます。ステムは上下をひっくり返して使うこともあるのでデザインもそれを考慮してあります。



ロードバイクの方が市場が大きいためだろうか? ステムはロードバイク用の方が種類が豊富にそろっています。これはハンドルを銜える部分の径が31.8mmのロードバイク、MTB兼用。31.8mmは比較的新しい規格なのでハンドルの選択肢が少ないのと高価なのが難点。

アンカー

ステアリングのベアリングに予圧を与えるためステアリングコラムにこの部品を固定します。

左が安価なスターファングルナット、このタイプは一度フォークコラムに押し込んでしまうと抜けません。どうしても抜きたいときは中央のネジ部分をドリルで破壊して上下を分離、さらに6本足ヒトデを変形させて強引に抜きます。右がプレッシャーアンカーでネジを緩めれば取り外し可能。


こんな構造になっています。太いネジには、それよりちょっと細いネジが切ってあります。
2007-09-04追記:このアンカーは出来が悪かったので自作品に交換しました。


ロードバイクの物を外してみました。一番大きな違いはこの写真からはわからない、コラムの径とアンカーの径です。アンカーの径とフォークコラムの径がぴったりです。作りもおまけ的ではありません。これはロードバイクに最初から付属していた物。



コラムスペーサ

これはハンドルの高さの調整とベアリングに予圧をかけるための仲介役として機能します。

左はアルミ製。右はカーボン製。右の物は長すぎるので旋盤で切って使用する予定。通常はこのまま使う物と思われるのでハンドルをうんと高くしたいときに使うのでしょう。



■そろえる工具

専用工具を自作しないなら自転車店で工賃を払ってやってもらうのが得策。

ヘッドパーツ圧入工具(自分でやるなら必要になることが多い 自作も容易...のはず)

この工具はフレームにベアリングの収まる受け皿(=ヘッドパーツ)を圧入するための物です。上下の受け皿をネジで締め付けていくだけなので、下玉押し圧入工具の要領で自作できます。外側から受け皿が見えるタイプの物で使用します。今回購入したフレームでは必要ありません。


左の写真のように外側から受け皿(銀色の部分)が見えるタイプの物で使用します。右の写真は全体が黒くて解りにくいですが「CANE CREEK」と書いてある物がベアリングの受け皿です。


下玉押し圧入工具(自分でやるなら必要 自作も容易...ではなかった)

本当に圧入する工具もありますが、圧入と言いつつ単に上からド突くだけの物もあります。安い物でも¥3000以上するので、自転車店に圧入を依頼した方が安上がりです。今回は自作してみました。

ホームセンター(コーナン)で材料を購入。
  ・長ネジ − ¥115
  ・ナット2個 − ¥14
  ・ワッシャ2個 − ¥16
  ・塩ビパイプ2m − ¥614
しめて¥759なり。塩ビパイプは2mの物しかなかったので、適当な長さに切断。大きなワッシャは購入品ではなく鉄の丸棒を輪切りにして形状を旋盤で整えた物。長ネジが通る穴が空いていて塩ビパイプより大きな部材であれば特に何でも良かったのですが凝ってみました。


旋盤で端面を整え、下玉押しの形状に削って座りを良くします。こうしないと下玉押しが斜めに入っていこうとしてうまく圧入出来ませんでした。内径がちょうど35mmならこの加工は不要だったのですがちょうど良い径の塩ビパイプがなかったので面倒な加工をしました。


弓ノコ

ハンドルの切り詰めとフォークコラムの切り詰めに使います。理想的にはこれが便利ですが早く切れるだけであって、きれいに切れるわけではありません。


六角穴ネジまわし

大きい物は長いものが必要です。短いとトルクがかけられません。2輪車好きなら大きい物から小さい物まで一通りそろえて損はしません。


■組立

下玉押しを圧入します。下玉押しが収まる部分はコラムがちょっとだけ太くなっています。フォークの方はちょうど30.00mm、下玉押しの内径は29.94mm。嵌め合いがちょっときつすぎます。


圧入すると下玉押しを掴めなくなるので抜くことが出来ません。



後で抜けるように下玉押しの下にリングを噛ませることにしました。右の物がアルミで作ったリング。



圧入しようとしたところ、少し斜めになってしまったので隙間が空いているうちにドライバーで下玉押しをたたいて抜きました。ところが思ったより柔らかくて打痕が...。これだけ柔らかいと言うことはどうしても抜きたくなったら削り落としてしまえばいいので、上で作ったリングは使用しないことにしました。抜くときはフライスで削ってしまいます。


ちょっと長すぎるので切断。


そして圧入。嵌め合いがきつかったので下玉押しの内径を0.03mmほど削りました。


ベアリングを順番に組み付けて、さらにステムを差し込みます。まだベアリングに予圧はかかっていません。


自転車らしくなってきました。


ステムの径が26.0mm、ハンドル径が25.4mmなので0.3mmの銅板でシムを自作してハンドルを固定。


アンカーを固定。これでアンカーとフォークは一体になります。さらにスペーサーを乗せてキャップ上部のネジを締めて予圧をかけます。
圧力は以下の経路で伝わります
  アンカー
  キャップのネジ
  キャップ
  コラムスペーサ
  ステム
  上ベアリング
  フレーム
  下ベアリング
  下玉押し
  フォーク


予圧をかけたらステムの固定ネジを締め込んで完成。上にコラムが突き出て不細工ですが走り込んで最適な高さを見つけてから切り落とします。


(追記)
プレッシャーアンカーは出来が良くなかったので自作しました。


再加工

ハンドルがちょっと長いので切り詰めました。


端面はフライス加工。エンドキャップをかぶせてしまうと見えなくなるのできれいに加工しなくても問題ありません。ついでにフォークコラムもちょっと切断。同じく端面をフライス加工。こちらも精度はどうでもいい部分です。


切り詰めたコラムに合わせてコラムスペーサも切断。スペーサーは両端面が平行でないと予圧が均等にかからなくなってしまいます。旋盤は回転しているのですがストロボ使っているので止まって見えてます。スペーサをステムの下にも入れてハンドルを少し持ち上げました。


ハンドル位置が決まったので流用していたロードバイク用のステムを外して最終形の部品に変更しました。ハンドルの遠さ(=ステムの長さ)は変更無し。高さを15mm上げました。結果、コラムの再カットは不要となりました。




乗った印象:

このフォーク、本当に立ちこぎしてもヘコヘコ沈みません。立ち漕ぎには反応しないのに路面の凹凸には反応します。ブレーキをかけると適度にダイブします。コーナーを曲がるときも少し沈みます(極わずかです)。瞬間的なショックとゆっくり加重がかかるときに反応するのに、立ち漕ぎだけに反応しないのは不思議です。

追記
どうやらブレーキをかけたときのダイブは停止直前にのみ発生しているようです。かけ始めには殆ど反応していません。停止直前は瞬間的なショックに近い力がかかっているのでしょうか?。瞬間的なショックに反応して、立ち漕ぎ並みにゆっくりした加重の変化には反応しないという仕組みのようです。