2013-10-26
コンプレッサーはこれ。JUN AIR 5/17。最近調べたらかなりハイエンド機。ものすごく高価な機種だが冷蔵庫のコンプレッサーにレギュレータを取り付けたら出来てしまいそうな造り。購入した当時は金魚のぶくぶくレベルの物以外はこれしか無かった。模型用なので吐出量は小さい。空圧工具用のカプラも付けてあるので常圧工具も使えるが吐出量が必要な大型のスプレーガンやエアーダスターは使えない。大型の物はうるさいがこれは冷蔵庫のコンプレッサーと同程度の音しか出ない。普通のコンプレッサーはタンク内の圧力が規定値に達すると回転が止まるがこのコンプレッサーは常時回りっぱなし。消費電力は約200W。使っていないときの発熱量は200Wになるのですごく熱くなる。
圧縮された空気はメッシュホースを通って持ち手の中に入る。持ち手が小容量のエアタンクになっている
黒いのがレギュレータ。センサーはレギュレータ<->コンプレッサー間に付ける必要がある。
圧力計は16気圧まであるが赤線の所が性能限界。1気圧=約15psi=100kPa=0.1MPa。圧力の単位は未だ統一されず混在が激しい。
センサーはこれ。8ピンのオペアンプ程度のサイズ。約8気圧までOK。パナソニックのADP1181。このタイプの物は最大圧力が10気圧程度の物までしか無い。これ以上の高圧用センサーは価格がうんと高くなる。データシートにはしょぼい超手抜き回路例しか無いのでネットで情報を探す。2本の電源ピンに定電流を流して2本の出力ピンの電圧差を検出すれば良いらしい。フジクラ、OMRON等が同じ形状のセンサーを作っている。内部の構造はOMRON 2SMPP-02 の解説に詳しく載っている。
異常圧開放バルブか?漏れ防止剤を塗ってねじ込んであった。この間に配管コネクターを入れて分岐させセンサーと接続すれば良さそう。ネジの規格はたぶんPF1/4。テーパーネジでは無い。
実験回路。中央のブリッジがセンサー。圧力がかかるとセンサー内部のダイヤフラムが変形しそれに貼り付けてあるひずみゲージの抵抗値が変化する仕組み。arduinoシールドにしているが基板上にatmega328も実装してarduinoを切り離せるようにする。AC100VのON/OFFは秋月電子のSSRキットをそのまま使う予定。電源電圧は5Vだがセンサーのメーカー推奨値を採用すると電圧は9V以上が望ましい。この回路はR4,R5経由でGNDに繋がっているところがイマイチ。オペアンプを3回路組み合わせてインスツルメンテーションアンプにするか計装アンプを使うという方法もある。最初はブレッドボードで実験するのでシンプルな回路で行く。センサーが4本足では無く5本足(現物は6本足だが1本はNCで何処にも繋がっていない)になっているのは圧力がかかっていないときにセンサーの出力電圧をゼロボルトに調整するための物。右側に出ている端子の両端に低抵抗のトリマーを入れて調整する。センサー内部のブリッジ抵抗値が全て同じなら出力電圧はゼロボルトになるが実際はセンサーの製造上の誤差でオフセット電圧が発生する。デジタル回路で出力を受ける場合はオフセット電圧をプログラムで差し引けば良いのでトリマーは不要。
2013-10-27
端子台にしては大きいので中を開けてみた。コイルと過熱時に電源を遮断する回路らしき物が入っていた。
電源を入れる前にエアータンクの中は大気圧開放されていて欲しい。そのときのセンサーの出力電圧が大気圧を意味するとMPUに認識させるためだ。そのためには機械的にバルブを開閉する仕組みが必要。電磁弁は意外と安い。うまくいきそうならこれを組み込んでみる。電磁弁はAC100VなのでコンプレッサーをON/OFFするSSRに加えてもう一つ電磁弁を開閉するSSRが必要になる。電磁弁とコネクターと合わせて約¥3500よけいにかかるがセンサーやオペアンプの温度ドリフトを気にしないで良くなるという利点もある。
2013-10-29
ジャンパー線5本程度で片面基板に収まる
2013-11-03
オイルが異常に臭いので交換することにする。元々臭かったのかは不明。オイル漬けになっているケース内部の空気を吸って吐き出す方式なのでオイルを入れ替えない限り臭いは消えない。
主要な機構は洗濯機のように外側のケースにバネでぶら下がっている構造。電気関係もオイル漬け。吐き出し口はケースに固定され、内部は宙ぶらりんなのでその間を細いパイプでつないでいる。長時間使用した場合最初に錆以外で壊れそうなのはこのパイプ。モーターが揺れるとパイプは何度も曲げられることになる。ケースの外にある黒いチューブはオイルのリターンだと思うがこんな位置関係で戻るのか?
運転時のケースの内部は圧力がかかっているわけでは無いので開かなければ問題ないのだが何故こんなテキトーなナットで蓋を固定しているのか不明。
オイルはたぶん殆ど変色していない。薄い黄色。
純正オイルはぼったくり価格なので同じ粘度のオイルを入れる。そもそも臭気対策なので同じオイルを入れるわけには行かない。純正オイルの粘度はVG22。粘度VG22のオイルは買い置きが無いので注文しておいた。ホームセンターにはVG10,32,68あたりは置いているがVG22を置いているところはたぶん無い。VG22はSAE規格だと10W程度らしいのでエンジンオイルを入れてしまうと言うのも有りか。
純正オイル高いよ。約¥5700
オイルのデータシートは公開されている
粘度は22mm2/s ISO規格ならVG22
2013-11-08
柔らかいVG10のオイルを入れて1時間程度から回し。オイルは捨てる。オイルの抜き方は
1.写真のように蓋を開ける
2.逆さまにしてオイル注ぎ口から抜く
3.エアフィルターを外して空気吸入口から抜く
4.オイルレベルゲージの窓を外して抜く
の4通りが考えられるが、たぶん2が正解。どの方法もオイルで汚れるがオイルを入れるためにはオイル注ぎ口を開けないといけないので抜くのも同じ所からやるのが効率が良い。
粘度VG22のオイルを入れ直し。左のタッカオイルの方がやや入手性は良いがちょっと容量が少ない。今回は右の物を入れた。タッカオイルは水置換剤が入っているがコンプレッサーの構造上オイルが外部に出ていかないのでその影響が不明。工具の場合は空気の流れによって少しずつ外部に出ていく。タンクの中が既に臭くなっているので完全に臭気が抜けるのには時間がかかりそう。
2013-11-12
MonotaROで在庫限り品が約¥2000だったので買っておいた。AC100Vの電磁バルブ。英語だとソレノイドバルブ。ノーマルクローズなので通電したときに開く構造。接続ネジはRC1/4のテーパーネジ。金属の固まりで見た目以上に重い。MonotaROの大阪魂ブランドで販売されているがAirTACという会社の製品のようだ。中国製。
2013-11-15
定電流回路で駆動してみる。センサーの仕様上は約1mA電流を流すが電源電圧が5Vだとセンサーの抵抗値が5kΩなので電源と直結しないと1mA流せない。電流を約半分にして実験。1気圧あたり2.3mV出力が変化する。大気圧開放されているときに出力が負電圧になるので単電源のオペアンプでの増幅に難有り。¥50高いが出力が正電圧になるタイプもある
フレアキャップに3mmの穴を開けて真鍮パイプを半田付け
大気圧状態でセンサーの出力電圧-1.23mA
約2.5気圧で4.54mA
有りがたくないことに大気圧の時出力が負電圧になる
2013-11-16
電圧を210倍に拡大して実験。気圧と出力の関係をグラフにするとほぼ直線。
増幅回路を追加して確認。7気圧の時出力約3V
気圧と出力の関係
LEDを8個並べようと思ったのだが設定も必要なので2桁の7セグメントLEDに変更
基板にAC100Vが来ているので基板上でAC-DC変換したいがオンボード電源は2~3千円する。秋月の¥600AC-DCアダプターのオンボード版があると良いのだが。aliexpressで評価用に4個だけ購入
1個$1.5と安いが少量だと送料が高い
フルモールド版もある
スイッチや表示など操作系まとめ
・電源スイッチ 弱電回路側は常時通電なので実質スタートスイッチ 省略可能
・パイロットランプ
・設定圧力以下でSSRオン
・設定圧力以上でSSRオフ
・設定モード/運用モード切替スイッチ および 表示
・圧力7セグメント表示2桁 0.0気圧表示
・小型エアブラシ/大型エアブラシ/工具 運転モード切替
2013-11-17
こんなレイアウトにする。
2013-11-20
100V回路はピン配列を間違えると燃えるので確認。マイナー部品はEAGLEのライブラリーに無いので部品を自作する。現物で確認しておかないとBOTTOM VIEWとTOP VIEWを間違えていたりすることが良くある。
2013-11-22
センサーは定電流駆動しないと温度ドリフト性能が1桁悪くなる。フジクラのテクニカルノートにかなり詳しく説明があるので読んでおいた方が良い。
フジクラ半導体圧力センサー テクニカルノート
2013-12-12
注文した電源は未だに届かないので別の店から注文。aliexpressは商品登録がテキトーだったり注文後に店が消滅したり日本では非常にまれな事が当たり前のように起こる。
2013-12-14
今日届いた。遅すぎ。1ヶ月もかかった。12/8北京の印があるので中国国内を3週間も移動していたことになる。深セン直通便は無いのか。電子部品の販売店は殆ど深センにある。
2013-12-19
盛りだくさんなので基板自作は不可。FusionPCBに基板を発注。arduinoシールドとしては巨大な100×100mmサイズ。atmega328も実装しているので完成したらarduinoは切り離せる
2014-01-11
基板到着
2014-01-12
半田付け完了。ヒートシンクとトライアックはシリコングリスを塗ってある。熱伝導は基板経由。電源を乗せるのはプログラムが完成してから。そうしないとテストするときにUSB電源と基板上の電源が競合する。
表面
裏面
2014-01-14
一番面倒な設定機能などを除いてプログラムの骨組みは完成
2014-01-15
設定機能を追加して動作テスト
2014-01-16
プログラムが完成したのでarduinoを取り外す。10分程度連続運転してみたがトライアックの発熱が小さいのでヒートシンクも取り外した。ヒートシンクが必要になるのはたぶん400W以上
プログラムCOPY
ピンヘッダもいらない
ケースに収める
透明ビニールテープが無かった。5mmLEDが見えない
エアタンクになっているパイプをプラスチックのサドルで銜えるようにした
スイッチは割り箸を突っ込んで操作。再設定は殆ど必要ないはず。センサーの選択を間違えたので ADP42913 でも試してみる。うまくいったらキット化して少量だけ販売。電源付きでセンサーが1個¥1000もするので1セット¥5000程度になる
2014-01-17
センサーを変更しようと思ったがピンレイアウトが違う。同じ基板は使えない
透明ビニールテープに変更。上からLEDが見えるようになった
2014-01-20
センサーを注文しておいた。Panasonicが直販している。納期が長いので一旦終了
2014-02-13
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使い方
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動作モードは3モード有る。初期状態では以下のように設定されている
・高圧 ON圧力:7.0気圧 OFF圧力:7.5気圧
・中圧 ON圧力:5.0気圧 OFF圧力:7.0気圧
・低圧 ON圧力:3.0気圧 OFF圧力:6.0気圧
モードはロータリーエンコーダーで切り替えることが出来る
・高圧 LED6(赤)点灯
・中圧 LED7(黄)点灯
・低圧 LED8(緑)点灯
電源投入直後は低圧モードになる
スライドスイッチがOFFの時 通常モード
スライドスイッチがON の時 設定モード
3mmLED(LED10)はAC2出力がONの時に点灯、OFFの時に消灯
LED1~LED5は圧力に応じて点灯
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動作モードの設定方法
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1.スライドスイッチをONにしてから電源を入れる。2桁の7セグメントLEDは--表示になっている
2.ロータリーエンコーダで動作モードを選択し、SW3を押してモードを確定する。選択したモードのLEDが点滅する
3.ロータリーエンコーダでON 圧力を設定する。設定中はLED1が点灯している。SW3を押してモードを確定する
4.ロータリーエンコーダでOFF圧力を設定する。設定中はLED5が点灯している。SW3を押してモードを確定する
5.スライドスイッチをOFFにして設定完了
・設定が終わると通常モードになる
・1度に1つの動作モードの設定しか出来ないので3モード全部再設定したければこれを3回繰り返す必要がある
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圧力校正方法(圧力計の付いている機器でないと校正できません)
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1.スライドスイッチをONにし、SW2を押しながら電源を入れる。
-2桁の7セグメントLEDは--表示
-LED8が点灯
2.圧力が大気圧になっている状態でSW3を押す。LED8が点滅して設定した値が保存される
現バージョンではこの設定値は利用されていない
3.SW2を押している間AC2の出力がONになるので圧力を3気圧程度にし機器の圧力計の読みと7セグメントLEDの表示値を合致させる
このとき
-圧力が高くなるにつれてLED1~LED5が点灯する。設定モードでは感度を高くしてあるのでLED1~LED5の表示は直ぐ振り切れる
-LED7が点灯
-ロータリーエンコーダで7セグメントLEDの表示値が増減する
SW3を押して設定値を保存。このとき少なくともLED1が点灯している状態で設定を保存する
回路の仕様上LED1が点灯していないときはセンサーの感度が無い。この不感帯は0~2.5気圧程度
4.さらにSW2を押して圧力を上げる。圧力を7気圧程度にし機器の圧力計の読みと7セグメントLEDの表示値を合致させる
操作や表示は3.と同じ
5.スライドスイッチをOFFにして設定完了
設定が終わると通常モードになる
2014-02-16
ハロゲンヒーターで大電流負荷テスト。このヒーターは400,800,1200Wと切り替えられるが800W以上ではトライアックの発熱が大きくなりすぎる。1~2分なら耐えると思うがそれ以上の連続運転が必要なら400Wが限界。基板の配線太さも400W以上を流すことを考慮していない。基板外のSSRを操作する端子があるのでそこから電線を引き出して大型のSSRを駆動すれば熱の問題は解決できる