2009-09-18
発泡スチロール製の家があるっていうので調べてみました。間取りという概念を捨てれば十分に住めそうです。低価格量産型のドームハウスを作っているのはこの1社だけのようです。社名はジャパンドームハウス。他社は多面体でドームを構成する造りになっています。
発泡スチロール製の家。約300万円。もちろん壁と屋根だけの値段。
多面体で構成されたドームの構造をよく見るとサッカーボールの5角形(黒い部分)と6角形を3角形(2等辺三角形)に分割した形状になっています。先ずサッカーボールを作ってみることにします。
CADで展開図を書いてコピー用紙に印刷。サイズはA3
切り抜く
何故か未完成のデススター形状に。展開図書き間違えていました。
球になるはずだったのだけど...
六角形の面を半分に切断してドームにする。やけくそ
今度は3角形で半球対を作ってみます。各辺の長さはここから入手できます。
数値はこのサイトから得られます。
コピー用紙だと強度がないので厚紙を使います
3角形を印刷し厚紙に糊で貼り付けて切り出します。寸法は上で紹介したサイトで「DOME CALCURATOR」を選び次に「2V」を選択すると解ります。
ひたすら切る
3角形を組み立てる。マスキングテープで貼り付けている。
三角形には糊しろがないのでテープで貼り合わせていきます。
中央の5角形から組立てていく方がやりやすい。これはやりにくい方法で組み立てた例。
完成
これはサッカーボールの5,6角形を3角形変換した物より少ない面で構成されています。写真では解りませんが正三角形と二等辺三角形の2種で構成されています。半球形で各頂点は球に接しています。サッカーボールの5,6角形の頂点も同様に全ての頂点が1つの球に接しています。
真上から
上に載っている物はガムテープと工具箱。重さ5kg。撮影終了20秒後に潰れた。
今度はサッカーボールの2次元投影図を書いてみます。無限遠から見た図です。寸法は内接球半径1000mmの例です。
先ず5角形を画く
辺の長さが1:2になっている10角形を画きます
短い方の辺の長さは5角形の1辺の長さと同じ、長い方はその2倍。2辺のなす角は144度
10角形を36度回転させた図形を画きます
CADを使うと回転&COPYで書ける。こういった作図が苦手なCADもあるが、機械系のCADなら簡単
3つの図形を重ね合わせる
重ね合わせただけ
正六角形を潰した図形を書く。
補助線を見れば六角形の書き方が解るはず。正六角形を倒した図形なので線対称になるってところがポイントだよ
ボールの裏側は表を36度回転させた形状になっています
五角形部分を塗りつぶす
裏側の形状を薄い線で書く、これもCADの回転&COPY機能を使った
今度は本題のサッカーボールを3角形変換したドームを作ります。
3角形を組み立てると組立が大変なので5角形と6角形の部品を組み合わせて作るようにする
部品を切り出す
マスキング用の紙テープだと粘着力が弱いのでセロハンテープて貼り付けていきます。
前に作ったドームの上に新ドームの5角形を載せてみる。こんなにも隙間が空く
完成
このドームは半球よりちょっと体積が大きくなっています。ドーム好きな人?の間では5/8と呼ばれています。球体の体積の約5/8だからだそうです。このドームは上に紹介したサイトのデータだけでは作れません。そのまま作ると平面上においたときに隙間が空いてしまうのです。
大きさは大体同じ。上から押してみると右の方が固い感じ。
真上から
このドーム形状の基本形は20面体です。20面体を構成している正三角形の分割数を大きくすれば球体に近づいていきます。
赤線の部分で正三角形を4分割して球体に投影すると、上の写真の右の物になる。
サッカーボール型のものは20面体の正三角形を9分割して出来た線の交点を球体に投影したもの。
平面上に綺麗に載せるためには1:2:√3の三角形や、3次元空間上の2点間距離が√(X軸方向の距離の2乗+Y軸方向の距離の2乗+Z軸方向の距離の2乗)という式なんかを駆使しつつ作図で求めることが出来ます。(求め方は面倒なので省略)
平面上に載ったドーム
少し上から撮影。2段目は波打っている。底面の各頂点は平面に接すると同時に内接球を底面で切った円に接しています。
黄色い線で分割する方法もあります。この場合、ドームの体積は球体の約3/8になります。
5角形の直下に来る台形は6角形の部品を2つ割にした物では無い。C1,C2の長さは下のPDFファイルを参照
黄色い線で切断して平面上におきたいときのC3,C4の寸法も下のPDFファイルを参照
これで家を作ったときに予想されること
・セルフビルド向き
-建物の構造自体が「屋根」なので在来構法以上に屋根を早くかけることが出来る。
円形の基礎の中央に柱を立ててテントを造りその中で三角形を作れば雨の心配をしないで済む
-キットもあるようだがかなり高い。
断熱材充填済みの三角パネルがキット化されていればボルトナットで組み立てることが出来そうだが
そこまで需要は無いようだ。
-角度の付いた部材が多くて気が狂いそうになるに違いない
-角度は複雑だが構造がシンプルで解りやすい
・雨仕舞いが悪そう。特に頂上と開口部。
・家具なんかと相性が悪い。
人間そのものの動き(動線)とはそんなに相性が悪くないと思う。
ロボコップみたいに90度にしか方向転換できない人は別だが...
・白い色が好きな人には向かない。外壁を白くしたらレーダードームそのものだ
・構造上開口を大きく取れない。そのため多分暗い。
ドームハウスは夜型人間に向いている。
開口が大きい家に住んでみると解るが、朝は眩しくて寝ていられない。
・規格外の構法なので在来や2x4用の建材寸法と相性が悪く廃棄物が多くなる。
・住んでいる人は風変わりな人に違いない。
・通気層を設けるにはかなり根性が必要だ
・建築確認申請取れるのか不明。無指定地域専用建築物?
構造計算は難しそうだ。トラスのように見えるがトラスではない。
トラスは圧縮と引っ張りの力しかかからないが、木造で作ると大きなせん断力がかかるし
曲げ(部材が短いので取るに足りないが)の力もかかる。
三角形を上の模型よりさらに小さくして球に近づけることは出来るが木造の場合
今回作った模型の物が限界ではないだろうか?
・音が反響しないか? 特に球体の中心部
2009-09-20
ドームハウスの安いキット作っているところがあった。ここ。模型の型紙までダウンロードできる。価格を当方の家の見積書(躯体部分のみ)と比較すると4割程度安い。
一人でやってる会社か?
2009-09-28
木枠で作るときは、角度が付きます。数学的に出そうとすると連立方程式を解かないと答えが出ないような気がしますが作図すると容易に角度が出せます。あまり厳密に角度を出しても工作精度が追いついていかないので近似でも十分です。角度を付けた切断に要求される工作精度は0.5度以下です。1度狂うとかなり隙間が空くのが解ります。
木枠で作るときの角度の出し方。これは内接球の半径が1880mmの時のもの。内接球の半径が異なれば当然角度も変わる。サッカーボールタイプではなくシンプルな方
2009-10-10
ドームの半径を入力すれば各部の角度が計算できるワークシートを作ってみた。物置サイズなら三角の枠以外に補強は要らないのでここから必要な数値は全て得られる。
緑の部分が入力欄、ドームの半径、枠(木材)の寸法を入力するだけでよい。水色の部分が結果。方程式を解かなくても三角関数だけで何とかなった。
作ったEXCELワークシート。EXCELを持っていない人は無料のOpenOfficeでも開ける。