キーケース

財布を作る前に革の性質を把握するため、キーケースを作ってみることにしました。


2009-01-10

今まで使っていたキーケースです。もうボロボロ。革も力を入れると引きちぎることが出来ます。

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20年近く使っただろうか...

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全周を革紐で飾ってあったのですが、一部を残して消滅しました。

型紙が無くても作れそうですが、模型と型紙を作りました。型紙は一番下のほうにPDFで添付しておきます。

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紙で模型を作ります。

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革の裏面のケバケバを整えるため「トコノール」というのを革の裏面に塗ります。少し薄めた木工用ボンドに添加物を入れたような感じの物です。

革専用の工具を使って縫製前の下準備をします。

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革の縁の面取りは「ヘリ落し」というのを使います。

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太い糸なのでステッチンググルーバーという溝掘り工具であらかじめ糸の通る場所を掘っておきます。

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ステッチンググルーバーの刃先形状はこんなです。

既に穴の空いた場所を縫っていくので手縫いはとても簡単です。適度な固さがあるので布をミシンで縫うよりずっと簡単。

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接着剤で仮止めしてから縫います。

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こんな工具で革に穴を空けます。菱目パンチという工具。約¥3000です。

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菱目の名の通り横長の菱形穴が空きます。

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あらかじめ開けた穴に糸を通して縫っていく。レーシングポニーが写っているが、また未完成。自転車のチューブで縛って臨時使用している。

縁の部分も裏面処理用のトコノールを塗って保護します。金具を付けて完成。

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中の状態

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外側

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外観 ちょっとテカっているのはオイルワックスを塗ったため。

これくらいの作品なら1万5000円くらいの工具が有れば作れます。

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この作品に使った工具一式

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金具は1種につき1つ工具が必要になるので、あまり色々なサイズをそろえると出費がかさむ。

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カシメ打ちとホック打ち

ついでにかぎ飾りも作ってみました。型紙が出来てしまえばキーケースもこの鍵飾りも、あっという間に完成します。

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自転車の鍵の飾り

縫いやすいように接着剤を多用します。

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型紙。これは型紙が無くても現物合わせで十分。

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接着剤で仮止め。丸い芯材は紙でも良い。

側面を処理して、金具を打って完成。

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側面の処理はSPコートという物を使いました。完全乾燥前に磨くと茶色くなって革らしくなります。トコノールはあまり茶色くなりません。

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アイレット打ち

型紙の公開に鍋CADのファイルそのままというのはちょっと無理があると思ったのでPDFに変換するツールを探しました。このクセロPDF2というのはとても便利です。Windowsからはプリンターとして認識されるのでCADを選びません。プリンターをこの「クセロPDF2」にして印刷するだけです。印刷するたびにWebブラウザーが起動して広告を見せられるのがじゃまくさいのですが、使用頻度があまり高くないので許せる範囲です。

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PDF生成ツール

型紙 (改良版の型紙のほうがバネホック取り付け位置まで書き込んであるので作りやすい)
ファイル ファイルタイプ 添付ファイルの解説
keycase.pdf PDF キーケースの型紙 PDF版
keyacc.pdf PDF キーアクセサリーの型紙 PDF版
keycase.zip OTHER キーケースの型紙 鍋CAD V7のファイル
keyacc.zip OTHER キーアクセサリーの型紙 鍋CAD V7のファイル

2009-02-04

寸法をちょっと見直して縫う順序/金具の取り付け順序を変更してみた。見た目はシンプルになるが強度は若干落ちるはず。

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先に金具を取り付けてみた

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金具が裏から見えないのでシンプルになる

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内側のバネホックの金具も見えないようにした

改良版の型紙
ファイル ファイルタイプ 添付ファイルの解説
keycase_v2.pdf PDF 改良版 キーケースの型紙 PDF版
keycaseV2_ana.pdf PDF 改良版 キーケースの型紙 PDF版 穴開け位置付き
keycaseV2.zip OTHER 改良版 キーケースの型紙 鍋CAD V7のファイル

2009-02-11

革に縫い目の穴を開けるときは菱目打ちを使用しますが、革の繊維を押し広げて針が通る道をつくるのではなく短い距離ですが革を切っています。切ってしまうので実際の革の強度は縫い目の部分で半分以下になっているはずです。そこで菱目打ちではなく千枚通しで穴を開けてみました。結果は失敗。千枚通しで開けた穴の縫い目は汚い仕上がりになります。強度は千枚通しを使用した方が若干強いかもしれませんが「縫いにくさ」と「汚さ」からやはり菱目打ちを使用した方がいいようです。

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千枚通しで穴を開けてみた

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上の縫い目が革専用の菱目打ちで穴を開けた物、下が千枚通し

1.5mmの革はそんなに厚く感じないのですが,2.0mmは大分厚く感じます。曲率の小さな曲げは出来ないので少し大きめに型紙を作る必要があります。2.0mmの革は尻の部分の革であるためか球形に丸くなろうとする癖があるようです。

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色々作ってみた。材料費は1個¥500程度。手縫いだと1日4個が限界。

2.0mm厚の革を使用した型紙
ファイル ファイルタイプ 添付ファイルの解説
keycaseV3.pdf PDF 外側の革を2.0mm厚にした キーケースの型紙 PDF版
keycaseV4.pdf PDF 外側の革を2.0mm厚にした キーケースの型紙 バネホック2個版 キーケースの型紙 PDF版
keycaseV3.zip OTHER 外側の革を2.0mm厚にした キーケースの型紙 鍋CAD V7のファイル
keycaseV4.zip OTHER 外側の革を2.0mm厚にした キーケースの型紙 バネホック2個版 鍋CAD V7のファイル

2009-02-17

革を重ねて菱目打ちで穴あけすると穴のピッチが合わずに縁が切れてしまうことがあります。このキーケースは裏に3枚の革をあてるので外周をぐるっと縫うと8カ所これが発生する可能性があります。穴のピッチの調整はさほど難しくはないのですが気を遣うためそれなりに疲れます。そこで穴のピッチをあらかじめ型紙に書いておき、型紙を革に貼り付けた状態で1本目打ちだけを使用して穴あけしてみました。

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革の縁が切れている

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菱目打ち、4本,2本,1本目打

CADの標準機能ではこのような芸当は出来ないのでプログラムを書きました

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こんな飾り縫いの多いデザインだと縫い目ピッチ合わせは一苦労です。

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CADで穴を開ける位置に小さな丸を書いて穴あけの目印にする

作ったプログラム
ファイル ファイルタイプ 添付ファイルの解説
bunkatsu.zip OTHER 輪郭構成要素は調整位置要素で切断されていないと正しく動かない 鍋CADのスクリプトファイル とても汚いコードなのでご参考まで

表面に穴を開け終わった後に、裏面の革を貼り付け、表面の穴をガイドにして裏面に穴を開けていきます。4本目打ちで穴を開けるのには気合いが必要ですが、すべて1本目打ちで穴を開けるため楽に穴が開けられます。

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型紙を革にセロハンテープではりつけ、1本目打ちで穴を開けていく。

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穴開け完了後の型紙

結果は良好です。

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縫い目がきれいにそろいます

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外周部のように左右対称の物は縫い目の位置も正確に左右対称になります。

型紙
ファイル ファイルタイプ 添付ファイルの解説
keycaseV8.pdf PDF キーケースの型紙 縫い目をCADで生成した物 PDF版
keycaseV8.zip OTHER キーケースの型紙 縫い目をCADで生成した物 鍋CAD V7ファイル

2009-12-13

車のキーなど大きい物を入れるためのキーケースはこれくらい余裕がある方がよい。

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ちょっと大きめ

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形状はシンプル

型紙
ファイル ファイルタイプ 添付ファイルの解説
keycaseV9.pdf PDF ちょっと太めキーケース PDF版
keycaseV9.zip OTHER ちょっと太めキーケース 鍋CAD V7ファイル

2009-12-21

量産。これは上棟式で配るための物。

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1日6個作った。

実験もやってみた。ボール盤プレスは失敗。トコノール薄茶色は良好。

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安物のボール盤を簡易プレス替わりにする。作業効率が悪く役に立たなかった。

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トコノール茶色は色が濃すぎるので白と茶色を5:1程度に混ぜてトコノール薄茶色を作る。

約18時間かけての成果。全部で18個。

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これは1デシ¥80の革

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これは1デシ¥60の革。ヤフオクに出品している伊藤登商店の直販で購入したが安物はやはり良くない。背中側は綺麗だが腹側に酷く固い皺が寄って使えない部分が多く歩留まりが悪い。