2007-12-16
先ずはブレッドボードで実験です
回路図はこんなです。半導体部品は秋月電子で購入できる物を使用しています。通常、FETはNチャネルMOSFETを使用しますが、ON抵抗の小さい小型の物が秋月電子になかったので面実装タイプのPチャネルMOSFETを使用しました。実験して性能が悪ければ交換しますが、ON抵抗はデータシート上で10mΩとなっているのでたぶん大丈夫です。この回路でうまくいけば部品代は¥500程度で済みます。
GP2が電池電圧を検知する仕組みです。A/Dコンバータを使います。
GP1はモーターの制御です。
GP0が受信機からスロットルの開度の信号を受け取る受け口です。
受信機->サーボへの信号を調べました。信号間隔は23msなので1秒に50パルス。
上の写真の1パルスを10倍した物。スロットル位置でパルスの幅が変わります。この幅の変化を捉えてモーターの出力を制御します。
スロットルOFFの状態
フルスロットルの状態
8ピンのPICでも、割り込みやタイマーの機能は充実しています。
プログラムのバグ取りは変数の値をPICに内蔵のEEPROMに書き込んで確認します。アセンブラだと面倒なのですが、BASICだと数行のバグ取り用プログラムを書けば済みます。デバッガの使い方を覚えるより簡単なのと、PICの種類を選ばないのでこの方法を多用しています。
ちょっと脇道にそれて、入手できる低ON抵抗のFETを調べてみました。耐圧は24Vとちょっと低いのですが抵抗値は0.8mΩしかありません。このFETが1個3ドル程度で買えます。10×10mm程度の大きさなので、定格いっぱいの429アンペア流すのは無理みたいです。昔、スピコンはかなり高かったように思いますが、FETの性能向上と低価格化がスピコンの低価格化に貢献しているのかもしれません。
プログラムを書き込んで動かしたが、なかなか思い通りに動いていくれない。原因はサーボの消費電力のために電源ラインが不安定になっているためだった。電源を強化して(配線の本数を増やしただけ)問題解決。ソフトのロジックを疑っていたため解決に2日を要してしまった。あと少しでプログラム第1版が完成する。
longint型の割り算をしたらあっという間にROMを使い切った。mikroBASICであまり気を使わずにプログラミングできる最小ROMサイズは2kワード程度のようだ。PIC12F675は1kワードのROMしか無い。
MikroBASICは else if 構文がないので強引に書くと end if が並んで不細工。
途中ショートさせたまま動かしたため、どこからか煙が出ましたが、動くレベルの物になりました。過電流は5A程度だったのでFETは死にませんでした。どこが燃えたのかよくわかりません。まだ、フルスロットルの境目と、モーターOFFの境目で息つきがあるので、スロットルにヒステリシスを持たせないとダメみたい。ここまでに作り込んだ機能は
1.バッテリーをつないだ直後はモーターが回らないようにする
2.バッテリーをつないだ後にスロットルをFULLの位置にするとモーターがピッピッピッと鳴る
3.スロットルを一旦OFFの位置にしないとスタートしない
4.バッテリーの電圧が6.2V以下になるとモーターが止まる
5.バッテリーの電圧低下でモーターがOFFすると、その後、電圧が回復してもスロットルをOFFの位置にしないと再度モーターが回らない
割り込みルーチンでPWMの制御と受信機からくるパルス幅の計測を順番に処理しているためモーターのPWM波形をオシロスコープで見ると、シャキッとしていない。PWMは約3kHzだが、受信機からくるパルスは43Hzしかない。
ブレッドボードでは流せる電流が限られるので、ソフトが完成したら試作品を作ります。その前にICSPが出来るか確認。DIPサイズならソケットが使えるので問題ありませんが、SOICパッケージではICSP出来ないとお手上げになります。このスピコンは電池電圧をA/Dコンバータで検知しているのでどんな電池にもソフト次第で対応できます。まだ作り込んでいませんがセル数もソフト次第で自動判断できます。
市販のアンプに「リポ対応」というのがありますが、リポにも対応できるのか、リポ専用なのかよくわかりません。専用と対応は全く違う言葉ですが、同じ意味で使われることがあるので困ります。その昔、「PC98対応」というWindowsがありました、これはPC98専用の意味でした。Microsoftのような大手企業でも「対応」という言葉を誤用しています。
基板のパターンを作りました。両面基板に面実装部品の組み合わせです。スルーホール部品は一切使っていません。サイズは25×15mm。サイズは一回り大きくなります。
100×75mmの基板から20個も取れます。
感光剤が変わったようです。注意書きに「現像不足、オーバー」とありますが、現像不足が「露光アンダー」の意味だとするとどう変わったのかよくわかりません。具体的な露光時間目安が提示されているのですが、今までの物より露光時間を多くしないといけないのか少なくしないといけないのかが判らないので、実験してみるしかありません
両面基板は生基板にセロハンテープでマスクパターンを貼り付けた後、それをガイドにして露光します。うまく現像できたように見えるのですが...
露光オーバーです。ブツブツが出てしまいました。感光剤も弱くなったような気がします。エッチング中にだいぶ傷が付きました。
プログラムの書き込み。
チップ抵抗がなかったので一部1/6Wのカーボンフィルム抵抗を使ってます。
組立中に2カ所パターンの問題を発見。1カ所は電源レギュレターの下にビアが出来てしまっています。基板メーカーに作ってもらうのであれば問題ありませんが、自作の両面基板はビアの部分が出っ張ってしまうため不可です。もう一カ所はFETのドレインとソースが繋がってしまっています。この部分は手動配線したので、その時のミスです。
消費電力の計測
電源ICの定格は出力0.5A、最大瞬間出力1.2Aなので同時にサーボ2個を動かすのが限界です。限界を超えると電流が頭打ちになるのでサーボのトルクが小さくなるだけで動かなくなるわけではありません。但し、常に激しく動かすと電源ICが発熱(125度までOK たぶん)して停止します。このときは受信機にも電源供給されないのでノーコンになります。これはICそのものの機能なので市販品でも同じです。
静止状態でフルスロットルにするとモーターが傷むので代わりに抵抗を使って動作確認。電流は4.5A程度流れていますが、この程度だとFETはちょっと生暖かくなるくらいです。7~8A流すならヒートシンクが必要になりそうです。
電流を多く流すので基板のパターンの電気抵抗も無視できません。基板設計の目安は「パターン幅1mmで1AまでOK」ですが、計算してみました。
銅の電気抵抗は 1.72μΩcm「角砂糖サイズの銅のサイコロの両端の抵抗値」 なのでプリント基板のパターンの幅に換算すると...
銅箔の厚さ0.035mm(普通のプリント基板の銅の厚さ)、幅1mm、長さ10mmなら 1.72 × 100 ÷ 0.035 = 4.9mΩ となります。これを基準として長さが2倍になれば抵抗値は2倍になりますし、幅が2倍になれば抵抗値は半分になります。幅3mm、長さ30mmのパターンの抵抗値は 4.9×3÷3=4.9mΩとなりFETのON抵抗値並の値になり無視できません。
基板のパターンを見直しました。パターンの最小幅は3.3mmです。横方向の長さは23mmですが、プラス側の経路とマイナス側の経路があるため約46mmになります。抵抗値は 4.9×4.6÷3.3=6.8mΩとなります。ON抵抗の小さなFETを使用しても基板のパターンが間抜けだとダメってことのようです。プリント基板の銅箔の厚みは通常0.035mですが、0.07mの物もあります。メーカー製は厚いのを使っているのでしょうか? 10Aまでいける物にしようと思いましたが、ヒートシンク無しでは5A程度が限界です。ユニオンモデルの280モーターはちょっと荷が重すぎます。
ビア(基板の表面と裏面をつなぐ緑色の物)もちょっと大きくしたので表面と裏面のパターンズレの許容範囲も大きくなります。
見直した回路図です。抵抗値も変えたのでソフトも変更する必要があります。R2,R3,R5の抵抗値は「大体こんなもんかな~」で決めています。チップ抵抗を何種類も買うのは無駄なので、抵抗値をそろえてあります。3セルのリチウムポリマー電池を使わないならR1も1kΩにできます。
殆どの部品が1個単位で購入できないので1個だけ作ろうとするとかえって市販品より高くなります。余る部品の価格を無視すれば1個¥300ちょっとで済みます。「1個価格」はスピコンを1個作るのに必要な部品の値段です。それにしても大容量のチップコンデンサというのは高い。
FETを4個にしてみた。これなら10Aいけるかも。横方向に1cm長くなったが、この大きさなら機体に積み込むのに苦労しない。1個¥20のFETなので¥40増で済んでしまう。
2007-12-27
もうちょっと大きい物を作ってみました。今度は全部リードタイプの部品です。最初はこんなレイアウトにしようと思いましたが機体に積みにくそうなのでボツ。
小型の機体には積めません。市販品より大きな部品を使っていますがひどく重いと言うほどでもありません。TO-220パッケージは足がICピッチで並んでいるので、大電流を流すためのパターンに出来ません。足を大きく広げればいいのですが、基板上の専有面積が大きくなってしまいます。
回路に2カ所間違いがあって修正が入りました。動作がちょっと不安定です最スローの時にモーターが完全にOFFになりません。ソフトは上で作った物と全く同じなのに何故でしょう?
回路図です。PICで直接FETのゲートをコントロールする方が回路がシンプルになりますが、この回路の方がゲートを電源電圧(=電池電圧)まで上げられるためON抵抗を小さくできるメリットがあります。トランジスターを2個も使っているのは、上のスピコンとソフトを同じにするためです。専用のソフトを使うならR7,R8、Q2は不要です。R5は実験のために入れてある物なので無くても動きます。
2009-12-29
2年間放置していた作業を再開。回路図を見直した。MOSFETのゲート容量は10000pFにもなるのでプッシュプル回路でFETを駆動。秋月電子で販売終了した部品などもあり変更を加えた。
こんな本も見てみたが複数の記事の寄せ集めなのでネット上にある情報と大差ない。書籍はやはり体系立てて説明されていないと価値が低い。
ルネサステクノロジーのパワーMOSFETアプリケーションノートは数あるアプリケーションノートの中でも最も充実している。ネット上にあるので読んでみると良い。モーター回している人は必読。
トラ技スペシャル No98
ネット上にあるルネサステクノロジーの パワーMOSFETアプリケーションノート(<-この名前で検索するとHITするので見てみよう)55ページもある力作。
FETを4連装。裏面にはPIC等の制御回路がある。
基板のパターン
面付図は今まで発注した中で最も複雑。基板のサイズは16×33mmだが、OLIMEXで作れる最小基板サイズは20×20なので20×33で作っておく。余計な4mm分は自分で切り落とす。
2010-02-02
基板が届いたので組み立てた。OLIMEXは20×20mmより小さい基板を切断できないので不必要に大きい。余分な箇所はフライス盤で削り落とす予定。
4連装のFET
5VBEC用電源とFETの制御回路