フライス盤の修理 修理:2005-06-19

フライス盤のY軸(奥行き方向の動き)の固定ネジを緩めてもとても動きが重いまま直りません。分解して原因を調べることにしました。元々、固定ネジを締め込むとしばらく動きが重くなっていたのですが、何故かそのうち回復していました。そもそもY軸はほとんど固定して使用していませんでした。


写真中央に写っているのが問題の固定ネジです。


−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
  寿貿易 M−0(V)12 旧姓 F1200 分解組み立て手順  (ドイツ WABECO社製
  ※3回の分解組み立て作業で撮影した写真を編集しているので整合性がきれいに取れていません
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

分解するためには、先ずはじめに写真中央のナイロンナットを緩めます。


これはX軸のストッパー兼、X軸固定金具です。かなり強いバネ(左写真の金具の左に少し写っている)で押さえつけられているのでラジオペンチなどで思いっきり力を入れて引き抜きます。


2つの六角ネジをはずしてX軸送りネジユニットをとりはずすと、X軸テーブルが取り外せます。Y軸の送りネジユニットも同様にはずします。次にY軸の上部にある黒い六角穴付き皿ネジを緩めます。かなり固くしまっていました。


このネジはY軸の送りネジナットを固定しているものです。このナットはY軸のストッパーにもなっているので、これをはずしてしまえばY軸も抜き取ることが出来ます。蛇腹もY軸に2カ所でネジ止めされていますが蛇腹の内側から固定されているためボールポイントのアーレンキーでないとはずすのが困難です。


テーブルを取り去ったときの姿です。フライス版や旋盤の分解手順をホームページで見かけない理由が実際に分解してみるとわかります。手が油でベタベタでとでもデジカメをさわる気になりません。


このピンでカミソリをおしてスライドの形を調整しています。下から2番目が問題の固定ネジ用のものピンの横にこすった後があります。その直ぐ上の物にもちょっと痕が付いています。カミソリ側を見るとピンの収まる穴の上側(写真では左側)がわずかにへこんでいます。この部分とピンがぶつかってピンに曲げの力が加わりその力がカミソリを強く上に押し上げてスライドの動きを重くしていたものと推測できます。


ピンは横から見ると直列していなければなりませんが、固定ネジの物だけがちょっと上に飛び出しています(写真はY軸をひっくり返して撮っているので上下逆です)。


カミソリの穴を少し広げてピンとぶつからないようにしました。修理はこれでおしまい。後は組み立てです。


組み立て前の姿


Y軸テーブルを乗せます。


Y軸のナットを取り付けます。この段階では仮止めです。締め込みません。


Y軸の送りネジを取り付け、アリミゾの調整をします。仮締めしたナットもしっかり締め込みます。蛇腹を取り付けてY軸は完了。


グリースを塗って組み立てていきます。固い油は調整時にムニュっと時間をかけて押し出されるようで、もっと柔らかい油が理想だと思います。調整に時間がかかってしまいます。


X軸の裏側とカミソリです。カミソリの表面は普通のミガキ棒のような肌です。ちょっと円弧状の傷も付いています。


X軸テーブルを乗せます。


X軸の送りネジを取り付けアリミゾの調整をしてY軸の組み立ても完了。


DROを取り外したときに、こんなものがポロリと出てきました。DROのスケール(アゴ無しノギス)のカミソリ?です。DROのスケール部分も分解して修理しました。