チップホルダーその3 作成:2005-06-15〜
必要になる都度、形状の異なる物を作成するのでどんどん増えます。もう既に10本を超えました。
トランスのコアの削りだしは、エンドミルでは効率よく作業が進みません。深溝を掘るためのチップホルダーを作成します。素材は買い置きしてあるSS400 16×16mmのミガキ角棒です。溝の内側、中央、外側を削るための3本組になります。赤い部分を残して先端35mmを削り落とします。
荒削りはフライス盤で、仕上げは旋削にします。チップは細長い菱形です。京セラ VCMT 080204HQ(TN60) です。正三角形の物は大きさ比較用です。
赤く塗った部分の半径は内側が30mm外側が25mmもあります。これだけ偏芯していると4爪チャックでも銜えきれないのでジグを作ることにしました。円柱に幅16mmの溝を切ってチップホルダーをネジ止めする構造にします。バンドソーで不要部分を大きく切り落とします。バンドソーの刃の角度に合わせて円柱のおしりを持ち上げる必要があります。角度はCADで計算しました。
エンドミルで仕上げます。ネジはM6ですが、タップが新品なのでフライス盤の動力でネジが切れます。
完成したジグです。この方法で削れるのは外側のR25だけ。内側のR30はどうやって削るかまだ考えてません。内側の方が半径が大きいのでやっかいです。
内側を削るためにはこの位置で固定しないといけません。
丸材の中心にネジを切った物にねじ込んで固定ネジの先端を削ります。旋削時はネジがゆるむ方向に力がかかりますがちょっと強くねじ込むだけでゆるまないものです。旋盤の刃物台のネジもこれと同じ加工がしてあります。こうするとホルダーに深い傷が付きません。
同じサイズの角棒を間に挟んでホルダーはネジ止めして削ることにしました。M4のネジ2本で固定しています。刃物の方を回転させる仕組みの方が面白かったかもしれません。
削り不足があったのでフライス盤にロータリテーブルを横置きして荒削りしました。最初からこの方法で荒削りしたほうが効率的でした。但し内側のRのつけ根部分はコレットチャックが当たるためジグを付けたまま削れません。先端部分の斜め削りもエンドミルで荒削りしました。ワークが刃物を下から突き上げることがないようにエンドミルの位置(Y軸の位置)には注意しなければなりません。
外径を削り終えました。
やってしまいました。送る方向を間違えて2ミリ近く食い込ませてしまいました。ワークの中央(短いキリコが飛び出している位置)にバイトが突き刺さったままチャックは停止、モーターは回り続けてベルトが滑るという状況です。衝撃の大きさはすさまじくワークを固定しているステンレス製M4のネジに段差がつきました。このような形状のワークは送り方向を間違えても送りが重くならないので注意が必要です。
チップが乗る部分を2mmのエンドミルで削ります。チップをのせて完成。