ミニUPS DC5V

停電すると電力モニターのデータを失うのでArduinoのバックアップ電源を作る
仕様
 ・時間:ブレーカーを落としたときや停電対策なので5分程度持てば十分
 ・電圧:arduinoなので5V

回路図は 2014-02-11 と 2014-09-11 の物が最終形。製作途中の物は正しく動かないので注意


2014-01-17

電力モニターの仕様上、停電している間のデータだけが失われるわけでは無い。前回のダウンロード~停電回復までのデータを失ってしまう。しかも回復はパソコンを起動して電力モニターと通信しなければ出来ない

R0019742.jpg

バックアップ電源には電気2重層コンデンサを使う。主電源のAC-DCアダプターが停止すると電気2重層コンデンサから電力を供給することになるが電圧は時間と共に低下するのでDC-DCコンバータで昇圧する必要がある。お手軽なHT7750で実験

R0019718.jpg

意外と正確に5Vになる。負荷は約10mA緑色LED

R0019720.jpg

入力電圧3V

こんなにもリプルがある。負荷100Ω抵抗。データシートを見たがこんなもんらしい。いろいろいじってみた結果
回路構成
 入力側コンデンサ:47μF16V電解
 ダイオード:1S3ショットキ
 出力側コンデンサ:10μF50V積層セラミックコンデンサ 2個並列
 コイル:100μH千石電商で買ったラジアルタイプφ7.8mm

-上の回路に加えて入力側コンデンサに10μF50V積層セラミックコンデンサを追加するとHT7750が確実に飛ぶ(無負荷だと飛ばない)
-1.5V入力で100mA流そうとすると電圧は4.7V程度に落ちる
-入力電圧が大きいほど出力リプルが大きくなる
-入力電圧が5Vの時は出力電圧5.4V程度になる

R0019728.jpg

秋月電子だと大容量の物は耐圧2.5Vが多いので AC100V -> 3.3VのAC-DCアダプター -> 2.5V LDO -> 電気2重層コンデンサ -> HT7750 -> 5V という経路にすれば良いか

R0019743.jpg

2014-01-18

HT7750がまた飛んだのでブレッドボードに変更。積セラ10μF並列も嫌っているような気がする。
後段にLDO(リニアレギュレータ)を入れるとリプルは小さく出来るが電圧がLDOのドロップアウト電圧分(小さい物だと0.5V程度)だけ落ちてしまう

R0019745.jpg

LDO追加

R0019748.jpg

リプルは小さくなる

HT7750の出力端子(実際には電流は殆ど流れないので電圧検出端子といった方が良い)にダイオードを追加すると出力電圧を上げることが出来るがパイクノイズが乗ってしまう

R0019755.jpg

1S1588だとあまり電圧上がらず。VF=1.5Vの赤色LEDが良い

R0019752.jpg

HT7750の出力電圧

R0019754.jpg

LDOの出力。スパイクノイズは取り切れない

電力モニターの電流はこの程度

R0019761.jpg

5V 36mA

LDO作戦はダメそうなので後段にLCフィルターを入れる。この程度なら十分使える。背の高い方の山の周波数は約60kHz

R0019766.jpg

負荷36mA

R0019767.jpg

フィルター無し 50mV/Div

R0019769.jpg

フィルター有り 20mV/Div

リニアテクノロジー製で使えそうな物を条件検索するといやと言うほど見つかる。うまくいかなかったらHT7750は止める。リニアテクノロジー製を選択するのはLTspiceが使えるから。配線長を短くする必要がある->ブレッドボードは使えない->部品の交換は簡単では無い->回路定数は一回で決めたい->LTspiceを使う->リニアテクノロジー製しか選択肢が無い という理屈

R0019758.jpg

2014-02-07

電源バックアップ専用品があるのでこれを使うと簡単なのだが... LTC3226。後段の三角マークはマイナス端子が400mVに固定されているコンパレータ。

R0019929.jpg

異常に小さいのとスーパーキャパシタの電圧が下がると出力電圧も落ちるので5V用途には使えないか?

R0019930.jpg

複数電源を自動的に切り替えてくれる機能のICもある。パワーパスコントローラーLTC4417。これはSSOPパッケージがあるので半田付け容易。上の専用品もパワーパスコントローラーを内蔵している。

R0019931.jpg

この構成が理想型か。LTC3539が半田付け困難パッケージなのでこれを変更すれば何とか作れる。
一番左がコンデンサの充電回路
中央下側がスイッチングレギュレータ
中央上がパワーパスコントローラー
右が降圧レギュレータ

R0019932.jpg

2014-02-09

部品調達や実験に時間がかかりそうなので間に合わせ版を作っておく。ニッケル水素電池を使った手抜き回路。動作確認はしていないがこれで動くと思う。
・LM317で定電流を作ってトリクル充電。充電は永久に完了しない
 この程度の回路にLM317はもったいないので安いAZ1117を使う
 ピン配列に互換性有り
・D2はIC1に逆電圧がかかるので保護用
 これのためにパイロットランプLED1は点灯したままになる。電池駆動時は少し暗くなる
・IC2で5Vに変換
・電池が6VなのでD3のVf+IC2ドロップアウト電圧が1Vに収まらないと出力が5V以下になってしまう
・LM317の代わりにCRDでも良いと思う
・9VのAC-DCアダプターが生きているときはD1がONして電源供給。D3はOFFしている
・9VのAC-DCアダプターが停止するとD3がONして電池駆動になる。
・D1,D3で簡易なパワーパスコントローラーを構成している。
 リニアテクノロジー製の専用品はダイオードの代わりにFETを使っているのでVfがゼロに近い
・μPC29M05は秋月で売っていたが今は入手不可。NJM2845が形状も仕様も互換性有り
・充電回路D2,IC1,R1を取り去って乾電池4本にしてしまうことも出来る
・コンデンサの値はテキトー。C2は積層セラミックコンデンサを使わない方が良い。
 IC2のデータシートに積セラOKと書いてあれば使っても良い
・充電電流はR1により決まる。充電電流[A]=1.25[V]/R1[Ω]

ups1sch.PNG

2014-02-10

回路を少し修正。AC100V駆動時は緑LEDが点灯、バッテリ駆動時は赤LEDが点灯するようにした。電池ボックスの在庫が無いので到着待ち。

R0019952.jpg
R0019950.jpg

2014-02-11

間に合わせ版の回路図
・電池駆動時に緑LEDが点灯しないようにD3で阻止
・9V電源が生きているときはQ1のベースが7ボルト弱、エミッタが6VなのでQ1がOFFして赤LEDは消灯
・電池駆動時はQ1のベース電圧が十分下がるので赤LED点灯
・電池ボックスが接触不良(または電池取り外し)になると赤LEDが点灯。つまり緑赤両方点灯していたらUPSとして機能しない。LM317でも同じ動作になるかは不明
・負荷の消費電力が大きいときに一番最初に定格超過するのはD1の200mA、その次はIC2のPower Dissipationつまり発熱。
 D1を黒い電力用ダイオードに交換すれば1A程度まではOK

schups1rev1.PNG

基板レイアウト。電池ボックスのサイズが合っているか現物合わせしていないので不明。電池は単4

brdups1.PNG
UPS間に合わせ版 基板レイアウト&回路図
ファイル ファイルタイプ 添付ファイルの解説
UPS_2_eagle.zip EAGLE 回路図&基板レイアウト EAGLE4.15

2014-02-12

間に合わせ版完成。若干電池ボックスが大きかったが押し込んだら入った。データシートより幅が0.1mm大きい。

R0019958.jpg

2014-09-05

スーパーキャパシタの充電回路。直列接続した電気二重層コンデンサを均等に充電する。LTspiceの回路なので使っている部品が定番部品では無い。LT1431はTL431と同じ物。約2.5Vの基準電圧。オペアンプはLM358等でも同じように動く。コンパレータとして使っている。充電しすぎた場合はトランジスターで放電させて2.5Vにする。耐圧の高い電気二重層コンデンサは入手性が悪いので電圧を上げたいときは直列に繋いで均等充電回路を付加する。普通はこんな面倒なことをせずに専用の充電ICを使う。専用ICは小型化するために半田付けしにくい形状なのでアマチュアの場合はこんな回路を組む

supercapjyuden.png

2014-09-06

スーパーキャパシタ版回路図。左から順番に
 -スーパーキャパシタの充電回路
 -昇圧回路
 -切替回路
 -定電圧レギュレータ
・実験回路なのでゼロΩの抵抗を多数入れて分離できるようにしてある
・昇圧回路は入力電圧が下がっても動作できるタイプを選ぶ。出来るだけ低い電圧で動く方が充電した電力が無駄なく使える
・R11,R13はたぶんもっと抵抗値が大きい方が良い。大きいほうが無駄に電気を食わなくなる
・FETは向かい合わせに接続して逆電流を阻止している
・最後段にLDOを入れてAC-DCアダプター/スーパーキャパシタどちらから電力供給されても電圧が同じになるようにしている

ups3schprt.PNG

2014-09-07

マス目パターンにしてみた。修正を加えるときは島がたくさんあった方が部品を後付けしやすい

R0021925.jpg

2014-09-09

スイッチングレギュレータまでの回路を組み立てて実験。約19分バックアップできた

R0021984.jpg

修正多数

R0021983.jpg

電流は15mAでLEDを点灯

2014-09-10

回路を全部組み立てた最終形でテスト。電流30mA。電圧5Vを7分39秒間維持できる

R0021986.jpg

2014-09-11

バックアップ可能時間テスト
電流 108mA - 1分30秒
電流 75mA - 2分30秒
電流 50mA - 3分52秒
電流 28mA - 7分06秒
電流 15mA - 13分16秒

スーパーキャパシタの充電に要する時間は23分

R0022001.jpg

最終形回路図

回路の解説
・MCP6002はLM358でも大丈夫だと思う。LM358の出力は電源電圧-1.5V以上には上がらない。
 MCP6002は電源電圧まで出力が上がる。これはFET1をOFFする能力の差になる。FETを完全にOFFするためには出力電圧が出来るだけ高くなった方が良い。
 完全にOFF出来ないとAC-DCアダプターの出力とMCP1640の出力がFET1経由でショートする
・オペアンプは電源OFF時に入力に電圧を加えると電流が流れるタイプの物が有るらしい
 LM358,MCP6002は流れない
・TL431で2.5Vの基準電圧を作りそれ以上の電圧にならないようにIC3でスーパーキャパシタの電圧を制御する
・D3はIC3Bの出力がGNDの時にR6経由でスーパーキャパシタが放電しないようにするための物
・R2,R3は並列にしないと充電初期に発熱で焼ける
・D1はショットキバリアダイオードでないと電圧降下が大きすぎて出力が5V以下に落ちてしまう
・入力電圧は6Vでないと正常に動作しない7VだとR2,R3が焼けすぎる
 5Vだとスーパーキャパシタの充電電圧が不足する
・C6,C9はMCP1640の近くに配置する必要がある。チップコンデンサが良い
 L1も同様に近くにあった方が良い
・MCP1640は電源投入後しばらくしてスーパーキャパシタの電圧が約1Vを超えると常時5.24Vを出力
・AC-DCアダプターの電源が切れるとIC4Aの3番ピンの電圧が下がり1番ピンがGNDになりFET1がON
・R8,R10が小さいとスーパーキャパシタに蓄えられた電力を消費してしまう、逆に大きすぎると基板表面を僅かに流れる電流で動作不安定になる
・MCP6002の電源はAC-DCアダプター、スーパーキャパシタ両方の電源で動作する必要がある
 D4,D5は両電源を隔離するための物
・AC-DCアダプター駆動時はIC4Aの3番ピンの電圧が8番ピンの電源電圧より高くなる
 理想的な回路では無いが若干の電圧オーバーで壊れることは無い
・スーパーキャパシタはディレーティング必要ないらしいが秋月電子で10F2.7Vが安いので0.2Vだけディレーティングしている
 2.5V耐圧の物に置き換えても大丈夫
・バックアップ時間を延ばしたいときはスーパーキャパシタを並列増設すれば良い
・C4はもっと大きい方が良い。実際には100μFを使っている

fnlsch.PNG
回路図
ファイル ファイルタイプ 添付ファイルの解説
fnlschL.PNG PNG 上の回路図の大サイズ

2014-09-12

基板修正が多すぎたので部品を外して新基板に移植。スーパーキャパシタを並列配置

R0022006.jpg
R0022016.jpg
EAGLE回路図&基板レイアウト
ファイル ファイルタイプ 添付ファイルの解説
UPS_MCP1640.zip EAGLE EAGLE4.15用。C4が100uF、スーパーキャパシタが並列になっているところ以外は上の回路図と同じ

2014-09-13

のんびり充電&2.5V充電なので前段の充電回路はTL431で電圧クランプするだけもいける

smplsch.png

2014-11-07

パワーパスコントローラーICを使って回路を簡略化。充電部もシンプルにした。D2は1N4148で良い

schupssmpl.PNG