建築模型

開口部の立体的な位置関係を把握するために建築模型を作りました。


2009-08-12

建築関係ではAUTOCADが広く使われているのでデータ形式はDXFになる。大抵の無料CADで読み込めるがAUTOCADもバージョンアップのたびにデータ構造が変わっているので文字が飛んだりする。印刷だけならオートデスク社から無料のビューワーがダウンロードできるのでそれを使う。立面図、平面図を印刷して材料の仕入れ量を決めておく。

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無料のDWG TrueView

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画面はこんな感じ。模型にすると寸法が解りにくくなるので910mmのマス目は残したままにして印刷した方がよい

次は材料の買い出しです。1/50で作るので壁の厚さを150mmとすれば必要な板の厚さは3mmになります。B3サイズの物を3枚購入。スチレンボードは画材屋で購入します。近所に美術、建築関係の学校が有れば購買部でも購入できます。接着剤はこれも画材屋でしか売っていないスチのり。酢酸ビニル系です。

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「スチのり」と紙が貼ってある3mmのスチレンボード

コピー用紙に図面を印刷。スティック糊で貼り付けます。大きな物は縁の部分だけ糊付けすれば十分です。

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スチレンボードに図面を貼り付ける

基礎の図面をスチレンボードに貼り、この上に組み立てていきます。図面は基礎の図面ではなく配管図で代用。この方が下水の位置関係などがわかる。

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土台

基礎+土台+床の厚さを計算して、地面から床の高さを求めます。

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見えなくなってしまうのでテキトーでよい

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床を張り付ける

窓の切り抜きが、この模型を作る上で一番面倒な部分です。

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窓の切り抜き

カドの部分を丁寧に作るなら表面の紙だけを残して接合しますが面倒なので切り口が見えてしまう接合方法にしました。

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在来工法の模型を2X4で作る

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見た目を重視するならカドの部分はこのようにする

内側から作っていかないと手が入りにくくなります

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外壁を立てる

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階段。段数は気にしない

細部を作り込んで完成です。

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台所

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正面は全面開口なのでブレースを入れて耐力壁としている。ブレースは0.5mmの真鍮。接着はせず差し込んであるだけ。

屋根は載せるだけにしてあります。製作時間は材料の買い出しを含めて約10時間。作ってもらう場合は坪¥1000程度のようですが、壁に色を付けたり外構を作ったりするとオプション料金がかかります。模型屋さんに払う料金に加えて設計屋の手間も必要になるので1/50サイズだと目に見えない費用を含めて最低7~8万円程度かかっているのではないでしょうか。

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完成

方角を合わせて日射を確認。

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8/12午前11:00。軒に遮られ日射はない。

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同日時。こっち側は日が入ってしまう。要日射対策。

わら人形以上に手抜きな1/50サイズの人形を作って窓の位置等を確認。タミヤの1/48ミリタリーミニチュアシリーズも使えるか?

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ゴミの量はこの3倍以上になった

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彼の身長は180cm

かかった費用
品名 購入場所 数量 単価 解説
材料費 画材屋 八王子 東美 1 ¥1,436 スチのり & スチレンボードB3x3枚

まとめ:

用途:
 ・設計段階(設計変更があり得る段階)では開口部は全部空いている方が解りやすい。
  ドアなども全部開いた状態で作っておいて、それを見るときに「開放状態だと見えるが
  実はドアを閉めると見えなくなる」といった具合に理解する方が容易。
 ・1/50サイズは壁の厚さが3mmも有り、作る労力(もしくはコスト)が大きい。
  ラフな設計段階では1/100サイズで十分。
  1/50は最終案の1つ前あたりの確認用に適していると思われる
 ・床の厚さ、壁の厚さは一律150mm(1/50の場合)になり、さらに工作精度の
  誤差が加わるため頭上高はご参考程度と捉え正確な高さは図面上で確認すべき。
 ・最近は建築模型ではなくCGの方が一般的になっているようだが、CGは
  (以下推測)
    ・近づくと物体が歪む(幾何学的に無理がある)
    ・コストはあまり変わらない
    ・遠近感、距離感が表現できない
  等の欠点もあるので模型の代用にはならない。また逆に模型はCGの代用にはならない。
  棲み分けは
   2次元 -> CG
   3次元 -> 模型
  ではないかと思う

作り方:
 ・スチのりは接合面に薄く塗った後、少し乾燥させてから貼り付ける
  酢酸ビニル系だがゴム系接着剤と全く同じ使い方をする。
  乾燥後はアルコールで溶かすことが出来るらしい。 <-実験してません。
 ・使用したスチレンボードはB4サイズ2枚であった。
  (縮尺1/50床面積約100m2の変則的1.5階建ての場合)
  4枚で足りなければかなり豪邸
 ・スチレンボードは思った以上に紙の部分が固い。
  アートナイフでは切断困難であった。
  組み立てた後に開口部をくり抜くのは困難。
 ・接着後の強度はそれなりに高いので模型のリフォームはかなり面倒な作業になる。
 ・スチレンボードは表面に紙が張ってない物もあるので購入時に注意。
 ・スチレンボードに図面を貼り付けるのには大きめのスティック糊が良い。
 ・カラーで作りたいときは光栄堂が「ハウスキット」の商品名で住宅模型キットを販売している
  畳、フローリング、フェンス等の単品販売もあるのでちょうど良いパーツが有れば製作が容易になる。

2009-08-14

壁や床の素材はカラープリンターがあればGoogleSketchUp等を使って印刷できます

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煉瓦や屋根材。これはGoogleSketchUpの画面

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素材をカラープリンターで印刷した物