小型車両系建設機械

基礎は工務店に作ってもらうので、外構をやるときまで出番はありませんがコマツの教習所が近所なので引っ越すまでに取得しておくことにしました。法的には事業者が従業員に建機を操縦させるときに必要となる資格なので、自宅の庭で動かすだけなら資格は不要ですが、いきなり乗ったモビルスーツが乗りこなせるわけはありません。


2009-05-23

ミニショベルと言ってもかなりでかい。敷地内で3トンクラスを動かすのはちょっと無理があると思う。バケット1杯で100~150kgの土砂がすくえる。スコップを使ったら1杯分で腰痛になるだろう。30杯で1m×1.5m深さ2m程度の穴が掘れる。教習所はここ。

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教習車はこれ。コマツPC30。重量は4t近くある。価格は400万円。

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教習車のPC30には特注ブレードが付いている。油圧シリンダーが3つ付いているのであらゆる方向にブレードを向けられる。

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もう一台の教習車PC27には普通のブレードしか付いていない。これは上下にしか動かせない。

「小型車両系建設機械」の免許を取得すると3t以下の車両系建設機械を操縦できます。3tの定義は腕を外したときの乾燥重量。3tクラスになると腕だけで700~800kgあるので、総重量は4t近くあります。これより大きな物は「車両系建設機械」の免許が必要です。教習料もうんと高くなります。「小型」は特別教育というやつで¥15000で済みます。

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3t以下の定義は作業装置(アーム、ブーム、バケット)を取り外した時の乾燥重量。

「小型車両系建設機械」で操縦できるのは実質「ミニショベル」と「ミニホイールローダー」だけです。ブルドーザーも可能ですが3t以下のブルドーザーはありません。

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操縦できる車両一覧

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ホイールローダーというのはこれ。これは10トンなので小型建機の資格では運転できない。ホイールローダーは胴体中央部分が折れる事によって曲がる。そのため内輪差を気にしないです済む。

建機では5t以下は「ミニ建機」と呼ばれています、1t以下は「マイクロ」です。

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スクーター型。コマツPC01。300kgなので軽トラに乗る。

もっと小さいのもあります。

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ヘルメット付き。対象年齢3才~

ヘルメットと安全靴は購入しました。ヘルメットは貸してもらえるので特に何も購入しなくても講習は受けられます。

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安全靴。つま先に鉄のカップが入っている。おじさんのトウシューズ。

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ヘルメット。送料込み¥3500。自転車用と比べるとすごく安い。バイザーが青いので曇りでも青空。

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 ミニショベル講習の内容
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・日程
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  1日目 講義
  2日目 実技
  両日共に最後に試験がある

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・実技
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 1.操作確認:
     バケット、ブレードを動かしてみて動作を確認する
     思った以上にいろんな所が動く
      ・アームの前後移動
      ・運転席毎ぐるっと回転
      ・ブームの上下移動
      ・バケットですくう、土砂を捨てる
      ・ブームを左右に振る
      ・ブレードの上下移動
      ・ブレードの左右の高さ変更
      ・ブレードの前後位置変更
     一番簡単なのだが、実はこれ熟練者が最も面食らう。
     現場では殆どの車両がコマツ方式の操作を採用しているらしいが、教習車はJISになっている
     コマツとJISでは左ジョイスティックの動作が違っている。
     教習はJISでやらないといけないらしい。
     フライバイワイヤーではないので、変更には油圧ホースのつなぎ替えが必要。
 2.普通に穴掘り
    油圧シリンダー1本にジョイスティック1軸が対応している
    そのため、ジョイスティックを一方向に動かすとバケットはアームやブームの支点を
    軸に円弧運動をする。
    掘りたい場所にバケットの爪を垂直に突き立て、左のジョイスティックを引くと
    バケットは地面に食い込みながら手前に引き寄せられる。それから右のジョイスティックを
    内側に倒してバケットを巻き込めば土砂がすくえる。
    順番に操作すればいいので思ったより難しくない。だが奥は深い
    この特別教育では基本的に同時操作は必要ないが、建設土木現場では同時に複数の
    油圧シリンダーを動作させて、効率よく作業する必要がある。
    バケットの爪の先端を平らな地面すれすれに前後移動させるのは容易ではないのだ。
 3.移動
    走行レバーを使ってクランク走行
    タミヤの戦車のリモコンと同じだが、反転して戻るときは運転席を180度回転させてしまうので
    操作レバーを押して前進ではなく引いて前進することになる。行きと帰りで操作が逆になるので
    ちょっと面食らう。
    速度は低速、高速しかないし、走行レバーを中立にすればブレーキが勝手にかかるので
    カクカクした動作になりやすい。
 4.坂道登坂
    クラッチ操作がないので、簡単そうに思えるのだが、
    車のように4点で接地していない点がポイント。
    頂上から下るときに、一瞬2点接地になり、その後車体が前方に倒れ込む。
    これで体が前後に揺さぶられる、そうすると走行レバーを前後に揺すってしまう、
    それにより車体が揺れる、こんなふうに「発振」してしまうのだ。
 5.整地
    ブレードを使用して整地する。
    元々平らな場所なのだが地面を削り取って畝を造り、またその畝を平らにする。
    これがとても難しい、左手で2本の走行レバーを操作し、右手でブレードを上げ下げする。
    この動作を同時にこなす必要がある。
    下手くそな操作をするので地面に凹凸が出来て車体がピッチングする、
    このピッチングに合わせてブレードを操作しつつ、車体を進めなければならない。
    横から見るとブレードの位置はわかりやすいのだが車体の上から見るととてもわかりにくい。
    丸一日練習しないと上手く出来そうにない。
    小型の物より大型の重戦車タイプのほうが操作が簡単に違いない。
 6.側溝掘り
    既に穴掘りの練習は終了しているので左右のジョイスティックの操作が頭に入ればとても簡単。
    普通の穴掘りと違うのはブームを左に90度振った状態で穴を掘るところ。
    振らないと運転席を中心に放射状にしか穴が掘れない。
    同じ場所をみんなで掘るので、深さは2m程度になる。
    2,3人交代で埋め戻す。
    終わった後に人数を確認して実技終了。
    一人足りなかったらもう一度掘らなればならない
    面倒なら居なかったことにしてそのまま締め固めても良い。

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・試験
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  基本的に合格させるためのテスト
  効率よく上手く操作できることではなく、安全に操作できることが重要

  学科:
   ・講義の後に実施される
   ・20問の○×試験。
   ・70点以上が合格
   ・不合格の場合、居残って合格するまで追試を受けるらしい。
   ・内容は非常に簡単
   ・19名受講しましたが全員85点以上であった。

  実技:
   ・所要時間5分間程度
   ・操作手順
     1.既にエンジンはかかっている状態から開始。
       バケット、ブレードは地面に接している。
     2.機械の周りをぐるっと回って安全確認
     3.乗り込んで、ロックレバーを下げる
       (ロックレバーを下げないとジョイスティックが動いても動きません)
     4.燃料調整レバーを引いて80%程度の出力にする
     5.バケットとブレードを持ち上げる
     6.左右の安全を確認する
     7.所定の場所まで前進する(約5m)
     8.ブレードを下ろす
     9.11時の方向、前方約3m付近の土を掘る
    11.掘った土を1時の方向に捨てる
    12.1時の方向、前方3m付近の土を掘る
       (さっき土を捨てた場所を再度掘ることになる)
    13.掘った土を11時の方向に捨てる
    14.バケットを中央に移動させ、ブレードを持ち上げる
    15.後方の安全を確認する
    16.バックして出発地点に戻る
    17.ブレード、バケットを地面に付ける
    18.エンジンをアイドリングにして、ロックレバーを上げる
    19.安全確認して降車する
  ・これも全員合格。

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・コマツ教習所 東京センターについて
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 ・受講申込みは電話で空きを確認してから行う
  直前だと定員に達している可能性がある
 ・講習費用の支払いは現地で現金払い
 ・1台の機械を交代で使う(今回は1台を10人であった)
  ミニショベルは2台しかなかったので、定員はたぶん20人程度
  PC30が1台、PC27が1台。見た目は解らないがPC27が僅かに小さい
 ・PC30は特注のブレードが付いている
 ・小型車両系建設機械の講習は月に2回程度実施されている
 ・近くにコンビにあり(コンビニの近くは何故かいつも牛臭い)
 ・近くに宿泊施設無し(二駅移動して八王子まで行かないとホテルはない)
  2009-05-25追記 
   八王子バイパスの鑓水(やりみず)出口から南にちょっと行くと
   ホテル(ラクシオ・イン)があるらしい。
   但し教習所まで5km以上ある ...と思う
 ・仕出し弁当有り ¥500
 ・夏場は屋外なので当然暑い
  半袖不可
  急がないなら春、秋がお勧め
 ・駐車場有り。車で来ている人が50%以上か?
 ・ヘルメットは貸してもらえるし安全靴でなくても良いので特別に必要な装備は無い

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・やってはいけないこと
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 ・超信地旋回
   機械が傷んだり地面が削られるので必要なとき以外は使用しない
   戦車のおもちゃでやるとゴムキャタピラーが必ず外れる
 ・バケットの側面を使用して土を平らにならす
   負荷をかけた旋回が出来るようには設計されていない
   実際の工事現場で時々見かける
 ・クレーン替わりに使用すること
   物をつり下げることは出来るが用途以外の使い方をしてはいけない
   但しバケットの裏側にフックが付いているタイプではOK
   クレーンと玉掛けの資格が追加で必要になる。
   バックホーはクレーンに比べて速く動くので危険度が高い


修了証を受け取って講習終了

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テキストと修了証

2009-05-25

法律関係:
  ・労働安全衛生法
   第59条の3で 事業者が危険または有害な業務に労働者をつかせるとき特別教育を受講させないといけないとされています
  ・労働安全規則
   第36条で  労働安全衛生法で言うところの「危険または有害な業務」について規定しています
          第36条の九 に3トン未満... についての規定があります
   第164条で パワーショベルをクレーンとして使うときの条件が規定されています
  ・安全衛生特別教育規定
   特別教育のカリキュラムについて規定されています

かかった費用
品名 購入場所 数量 単価 解説
受講料 コマツ教習所 1 ¥15,000 特別教育 小型車両系建設機械・3トン未満(整地・他)
ヘルメット 高翔産業 1 ¥3,500 価格は送料込み ¥2940+送料¥500
安全靴 ホームセンター 1 ¥1,980 価格は忘れてしまった。確かこんな値段。

2009-12-10

おまけ。宅地造成中。でかいんだけどミニカーに見える。1250とあるので125トン

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爪の跡

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ちょっとピンぼけで余計にミニカーに見える。このブルドーザーも巨大。

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鉱山でしか使わない物かと思ったのだが宅地造成でも使うようだ。安い山林があっという間に住宅地になる。宅地になったらこの辺りは坪25万円くらいかな。

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2015-07-20

販売始まっていた。1坪10万円

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ここの擁壁はプレキャストコンクリートでは無くブロック積み。外見はホームセンターで売っている物に見えるがブロック内部はがらんどうに近い構造で内部に配筋しコンクリートを流し込んで強度を出す。「型枠ブロック」「CP型枠」で検索するとどんな物かわかる。柔らかめのコンクリートを詰めるようなので厚さの割には強度は低いはず。プレキャストコンクリートの擁壁はこんなに分厚くない

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