革の染色

革の定尺は牛半頭分です。染色済みの革を購入すると牛半頭分の作品を作らなければなりません。染料は数百円と安いので染色の実験をしてみました。


2009-02-16

結論を先に書いておきます

このまとめは、アルコール系染料のみでの実験結果です。水性染料での結果は含まれていません。

染色方法に依存しない事項:
 革の表面(銀面)のほうがよく染まります。
 かなり染まり具合が違うので裏面、側面(コバ面)が露出している作品の場合
 色の濃淡を生かす作品にするか、側面だけを最染色する必要があります。

どぶ漬け:
 ・革が固くなるので染色後、油を付けて柔らかくする必要があります。
 ・油を塗ると色が濃くなりますが、油が革の中心部まで浸透すると色が逆に薄くなってきます。
  この変化を見越して作品を作る必要があります。
 ・望みの色の濃さを出すまでにかなりの量の染料と革を無駄にします。

刷毛塗り:
 ・どうしても刷毛目がつきます。
  刷毛目は革の部位によってつきやすさが異なるようです。
  定かではありませんが、
   表面がきれいな部分->刷毛目が付きにくい
   皺が多い部分->刷毛目がつきやすい
  となるような気がします。
 ・塗料の無駄が少ないのが利点ですが、刷毛目をなくすためには幅の広い大きな刷毛を
  使用することになり、結果塗料の無駄が増えます。
 ・革は殆ど固くなりませんが、若干の油分補給は必要なようです。
 ・重ね塗りをすれば色の濃さを調整できます。
  染料を薄めて使用すれば薄く染色することも可能ですが、刷毛目の点でかなり難しいと思います

スプレー:
 ・エアブラシでは塗料が霧状になって革の表面に付着するのみで内部に浸透しません。
  むら無く着色できますが、激しく臭くなるのでお勧めできません。
 ・霧吹きを使えば粒子が粗いのでうまくいくかもしれませんが、今回使用した染料が
  油性であったため洗浄のことを考え止めました

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今回使用した染料。オイルダイの赤。¥756。アルコール系なので薄くしたり、洗浄するときはイソプロピルアルコールを使う。アルコールは¥945<-ちょっと高すぎるような...

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色止め剤。これを塗るとちょっとテカって革の自然な風合いが失われるので作品によって使用/未使用を使い分ける必要がある。

プラモデル用のタミヤのエアーブラシを使用しましたが。屋外や、風呂場でしか染色は出来ません。気化した染料が霧状になって肺に入ってきます。1分以上の連続作業は出来ませんでした。

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エアーブラシとコンプレッサ。

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刷毛塗りでは刷毛目が残る。乾燥すると大分消える。

写真に写っている範囲はまだきれいなのです。染料を拭き取ったぼろ切れやティッシュが散乱していて死体が一緒に転がっていてもおかしくない状態になっています。

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ドブ漬けした革。染料を2倍希釈して使用。乾燥後は赤ではなく濃い小豆色になった。染料の量は革の体積と同量を用意すればいいようだ。鮮やかな赤にするためには3倍希釈が適当かもしれない(推測)

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乾燥させているところ。この写真はストロボ撮影なので実際より鮮やかに写っている。

裏面のほうがケバケバなので濃く染色されそうに感じるのだが実際には表面のほうが強く染色される。

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ドブ漬けした革。裏面。2倍希釈染料でもうこれ以上水分を吸収できなくなるまで染料に浸けた(たぶん約3分程度)

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ドブ漬けした革。表面。

染色した革の断面です。裏面は繊維が太く、繊維中心部まで染料が浸透するのに時間がかかるため染色されにくいのだと思います。うんと時間をかけて染色すれば裏面もそれなりに濃く染色されるはずです。

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厚さ2mmの革。約3回刷毛塗り。染料は原液使用。

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厚さ2mmの革。ドブ漬け。2倍希釈染料。約3分漬け込み。

革の部位によって上手く染まってくれない箇所があります。

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何故か変な模様が出た。これは刷毛塗り+ドブ漬けで染色した物。刷毛塗りとドブ漬けを併用することにメリットはありません。無駄が増えるだけです。

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2~3回重ね塗りをすれば刷毛目は目立たなくなってきます。

裏表両面染色したものは革の中心部が染色されないため、作品にした後に最染色する必要があります。

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刷毛塗りだが上手く塗れた例。皺の部分が濃くなっているが自然な感じなので気にならない。

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表裏両面刷毛塗り

染色ムラのある革でも、小さな作品にしてしまえば気になりません。むしろ染色ムラがあったほうが本革らしい感じがします。

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ドブ漬けの革だがスティチンググルーバーで溝を掘ると表面のみが強く染まっているのがよくわかる。

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このままというわけにはいかない

側面を刷毛で再染色すると表面に近い部分も裏面も殆ど同じ濃さに染色されます。く繊維の断面に染料が吸収されるため裏面と表面の差が殆ど出ないのだと思います。

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側面を再染色

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ドブ漬けした革なら再染色しない方がよさそう。

染色ムラの多かった革で作った小物。このサイズだと染色ムラは気になりません。

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手前がドブ漬けしたもので、側面の再染色はしていない。奥が刷毛塗り染色したもので側面を刷毛塗り再染色したもの。

隙間テープで刷毛を自作してみましたが、思った以上に染料を大量消費してしまうのと、粘着剤がアルコールに溶けてしまうため大失敗でした。しかも溶けた粘着剤が革に付着してひどいことに...

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刷毛目を残さない様にするため染めたい革と同幅の刷毛を自作。隙間テープと段ボールで出来ている。

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失敗。アルコールに粘着剤が溶けてしまった。

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溶けた粘着剤が皮に付着して光っている。

牛が染まるということは、人間も染まります。1週間は色が抜けそうにありません。

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ドブ漬けした革を乾燥させる。乾燥はラップの上で。下に紙を敷いておくと部分的に染料が吸収されて良くない。

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ドブ漬けして固くなった皮を柔らかくするための油

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手も染まる

染色した革で作った作品

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ストロボ撮影のため鮮やかに写りすぎています。実際はもっと濃い色です。ドブ漬け染色した革です。

2009-02-19

染色ムラが出た革を使ってキーアクセサリーを作りました。これくらい小さいと染色ムラは殆ど気になりません。

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キーアクセサリー。PENTAX OptioE50は赤が青っぽく写る。太陽光での昼間撮影。