トランスレス電源 FSD210B

トランスレス電源の実験をやってみます。


2008-08-28

先ず、秋月電子で販売されているトランスレス電源ICを実験してみることにします。

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FSD210B トランスレス電源専用ICではなくスイッチングレギュレター用のものらしい。

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データシートのサンプル回路として、トランスレス電源が紹介されている。

回路図は日本で入手難の部品が使用されているので幾つか変更する必要があります。
 ダイオード:UF4004 -> UF2010(秋月電子で購入 FRDではない?ようなのだが高速。秋月で売っているFRDはデカすぎ)
 トランジスタ:KSP2222A -> 定番の 2SC1815

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ダイオードはファーストリカバリダイオードが必要みたいだ。秋月電子で売っているFRDは大電流流せるので異常にでかい。代わりにUF2010というのを使った

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何だかうまくいっていないの図。12Vになるはずなのだが...

無負荷時は12.6V程度の出力が得られますが1kΩ負荷で11V、330Ω負荷で6.5Vまで電圧降下してしまいます。ブレッドボードで実験しているのが問題なのでしょうか? 原因がわかりません。

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コンデンサ、コイルなど色々部品を変えて試してみる

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330Ωの負荷で6.5Vまで電圧降下してしまう。

データシートによると100mA取り出せるはずなので、まだこの時点で波形を見るのは早いのですが、確認してみました。

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出力波形。

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ACモードでリプルを拡大。0.4Vくらいのノイズ

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さらに時間軸方向に拡大

2008-08-29

原因がよくわからないので基板で作ることにしました。蛇の目基板で作れるパターンにしています。部品点数が多いのですがトランスを使用するよりは小さく軽くなります。100mA取り出せればの話ですが....

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サイズ45×30程度です

2008-08-30

基板を作成したら動作しました。負荷は100Ωなので120mA取り出せています。やはりコイル物は基板を作らないとダメみたいです。

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負荷をかけて電圧を計測。負荷抵抗:100Ω 

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ノイズは0.2V程度。ブレッドボードの時より改善されている

回路図。C3はオリジナルの回路図では4.7μFですが、千石電商になかったので10μFに変更してあります。コンデンサーのデータシートを見ると4.7μFは足の間隔が3.5mmなので取り扱いしていないのでは無いかと思います。この回路は無負荷時でも8.2kΩの抵抗が出力端子間にあるのでちょっとは無駄電流が流れます。接続される負荷が8.2kΩより小さければ(=負荷が高ければ)この抵抗は取っても大丈夫なはずです。

transless.GIF

コイルを変更してみましたが、小さな緑の物でも大丈夫です。ツェナーダイオードを9Vに変更しましたが、特に問題ありません。100Ω負荷で9Vの出力が得られています。5Vは不可。データシートを見るかぎり9V以下はダメそうです。そもそも、このノイズを含んだ電源をそのまま使うのは遠慮したい。ツェナーダイオードを付け忘れて実験したところ耐圧16V1000μFの電解コンデンサーが発熱してビックリ。25Vくらいかかってました。

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9.0Vのツェナーダイオードで実験

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出力も問題なし。波形の写真は掲載しませんが12Vの時と殆ど同じです。負荷抵抗100Ω

無負荷時の消費電力はかなり少なく出来ます。エコですな~

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無負荷時(=8.2kΩ負荷)のAC100V電流。出力電圧は9V。5V-2AのAC-DCアダプターだと無負荷で6.0mA程流れる。AC100Vと絶縁されていないということと引き替えに1/5の消費電力が得られる。

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電圧同じく9V。負荷抵抗100Ωの時のAC100V電流。

FSD210B EAGLEの回路図&基板パターン
ファイル ファイルタイプ 添付ファイルの解説
transless.zip EAGLE EAGLEの回路図&基板パターン

シリーズレギュレターを入れると50mV程度にノイズが減ります。デジタル回路なら実用上全く問題ありません。

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9Vの出力に5Vのシリーズレギュレター(7805)を入れて実験

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負荷抵抗100Ωの時の負荷抵抗両端の波形。出力電圧は4.9V。