LEDマクロ照明 制作:2007-11-26〜2008-02-09

高輝度LEDを使用した照明を作ります。マクロ撮影用のレンズの周囲に取り付けるリング上のストロボは高価なのと動画用には使用できないので自作してみることにしました。


LEDは秋月電子で売っている物の中で一番高輝度な物を使ってみます。


5個入りだったので素子のばらつきを計測してみました。電源電圧3.9V、抵抗は10Ω。点灯直後はあまり電流流れませんが、少しずつ流れる電流が増加していくので全て同じタイミングで計測しました。36.9〜28.2mAまでだいぶばらつきました。直視できないので輝度の違いはわかりませんが、たぶん違うのでしょう。5個で¥300でした。




5個直列に接続して点灯。


5個でもそれなりに使えます。


たくさん付ければ、MOVIE撮影時の照明としても使えそうです。たくさん付けると近距離の時に真っ白けになるので調光機能も付けることにします。
5個での実験結果 <−MOVIE

切れるまで電流流してみました。流せば流すほど明るくなる物と思いましたが60mAあたりが一番明るく、そこから100mAあたりまでは殆ど同じ輝度。更に流すと逆にかなり暗くなり。200mA付近で切れました。調光器は1mA〜50mAまで電流調整できる仕様にします。切れたあとのLEDの順方向電圧を計測すると右の写真の通り。壊れるとショートするようです。直列につなぐと誘爆する可能性有りです。


回路図です。LM317で電流制限して、カレントミラー回路で各LEDに流れる電流を同じにする仕組みです。


調光器のボリュームを回したときの電流の変化をグラフにしました。横軸がボリュームの抵抗値、縦軸が電流[mA]です。電流がリニアに変化してくれません。Aカーブの物を使えばもうちょっと改善されるかもしれませんが、何だかいまいちです。


回路を考えるよりソフトでコントロールした方が早そうなので、点灯、消灯を高速で切り替える方式に変更。撮影用なのでシャッタースピードよりも十分早く点滅するようにしないといけません。点灯している時間と消灯している時間の比率を30段階くらいに調整可能にします。流れる電流とデジタルカメラのCCDが感じる明るさがどのように対応しているのか不明なのでソフトで制御した方が融通が利きます。


2列に配列すると60個近く並べることが出来そう。LEDは1個¥60なので¥3600にもなる。


カレントミラー回路の実験。2個直列のLEDと3個直列のLEDが同じ明るさになるか実験してみた。3個直列の方は5mm、と3mmのLEDの組み合わせ。3mmのLEDはだいぶ暗いが流れている電流は同じ。


輝度を7セグメントLEDに表示するようにしようと思ったが複雑すぎるので没にした。


再度カレントミラー回路の実験。抵抗値は22Ωと決定。電流は1経路あたり50mA。輝度はロータリースイッチで変更する方式にする。PICもPIC12F675に変更。


頭の部分を削ると光が拡散してくれる。マクロ照明ならこの方がいい。


買い出しに行ったら小さなボリュームが手に入ったのでロータリースイッチ方式は止めた。電源をボリュームで分圧してそれをA/Dコンバータの入力にして明るさを調整することにする。


ボリュームで明るさを調整しているの図 <−MOVIE(点滅周波数310Hzなのでちょっとチカチカしているのがわかる)

シャッタースピードを最大にして何枚か撮影し点滅速度が十分であるかの確認。点滅速度が十分速くなければシャッターを押すタイミングによって明るさの違う写真が撮れるはずだ。これは約1kHzで点滅している。シャッタースピードは1/400秒。



60個近いLEDをひたすら並べる。


並べるのに10時間近くかかった。ボリュームとPICなど一部の部品を別基板にした。


リングの中心を向くように部品を回転させるのが面倒なので、こんな使い捨てULPを書いて角度を付けた。殆どの場合、使い捨てのプログラムを書く手間のほうが手動でやっつける手間よりも大きかったりするが、やり直しが必要になったときはプログラムを書いておく方がずっと手間が小さくなる。

real genten_x = 50.0;
real genten_y = 40.0;

real rot_mirror;
real rot_normal;

output("led.scr", "wtD" )

board(B) {
  B.elements(E) {
    rot_mirror = atan((u2mm(E.y)-genten_y)/-(u2mm(E.x)-genten_x))*180/PI;
    rot_normal = atan((u2mm(E.y)-genten_y)/ (u2mm(E.x)-genten_x))*180/PI;
    if( u2mm(E.x) < genten_x ) {
      rot_mirror = rot_mirror + 180;
      rot_normal = rot_normal + 180;
    }
    if( (strsub(E.name,0,1) == "R") || (strsub(E.name,0,1) == "Q") || (strsub(E.name,0,2) == "IC") ) {
      printf("rotate =MR%f '%s'\n", rot_mirror + 90, E.name );
    } else {
      printf("rotate  =R%f '%s'\n", rot_normal + 90, E.name );
    }
  }
}


片面では配線できなかった。LEDのピン間を抜けば配線できるのだが流す電流を考えると配線をあまり細くできないのでジャンパー線でつなぐことにした。両面基板でもいいが片面基板+ジャンパーの方が手っ取り早い。赤いのがジャンパー線。内側と外側を橋渡しするようにジャンパー線を配線する。


ホームセンターでこんな物を見つけた。肉厚の塩ビ管なので上水道用のものだろうか?この中に入れることにする。ちょっと小さいので更に密にレイアウトしないとこの中に収まってくれない。今のレイアウトの直径は72mm、塩ビキャップの直径は70mmちょうど。LEDのサイズは6mmよりちょっと小さいので、それも考慮に入れて徹底的に詰めないと入りそうにない。


年末なので電気工作のゴミを捨てた。レジ袋の一番小さい物にほぼ一杯になた。


また更に10時間以上かけてレイアウトのやり直しをすることになった。ほぼ完成したパターン。2カ所変なところ(左下)に配線してあるがこれは不要な部分をべた塗りするために小細工。最終形は更にボリュームを取り付ける基板を扇型にレイアウトし直している。


感光剤が新しくなった基板。現像はうまくいっているように見えるが...


所々エッチング不良が発生。銅色に光っている部分がそれ。この部分はわずかに感光剤が残っていてエッチングされずに残っている。現像時点では銅色に見えているので現像できているように見えるため発見できない。微細パターンに対応できるように感光剤が変わったとのことだが、逆にかなり神経質になってしまったような気がする。


これはマスクパターンの写真ではなく、エッチング後の基板に光をかざして撮影した物。プリンターの紙送りの痕まできれいに再現されている。以前の感光基板より微細パターンに対応できるようになったのは確かなようだ。


外周部はギロチンで荒く切り落として旋盤でリング上に整形します。外周部は普通に削ればOKですが、内側は突っ切るようにして切断します。


チップ抵抗とトランジスターを半田付け


見えなくなってしまう部分なのですが、円弧部分の仕上げは捨て板に基板をネジ止めして旋盤で削ります。


LED半田付け開始


カメラが1台しかないので取り付けた状態を鏡に映して撮影


配線終了


点灯させてみた。至近距離だとリング状になってしまう。トイレットペーパー1枚を被せてやると暗くなるが光は拡散してくれる。


レンズに付けて近距離撮影してみた。


MOVIEでも使ってみた <−MOVIE

調光器基板を旋盤で削る


部品を半田付け


プログラムを書き込み


アダプターは大きく邪魔になるコネクターを切断して直結


水道管のキャップからケースを削りだし。分厚いので内側をかなり削り込まないと入りません。


切り子が大量に出ます。最終的にはこれの倍の量になりました。


コントローラー回路はこんな収まり方です。


配線してつまみを付けて完成。


調光の様子 <−MOVIE

光を拡散させるためにコピー用紙を仮止め


ストロボと違って陰が殆ど出来ません。ちょっと色が青っぽいですが、ホームページ用なので形状がはっきり判れば問題なし。ICの文字はレーザーマーキングなのできれいに撮影できないことが多いのですがきれいに写っています。


乳白色のリングを作成。


取り付けたところ。手前にあるLEDが1個だけ暗いのは設計ミスによる物。上の実験の通り過負荷のためかえって暗くなっている。いずれ切れるかもしれない。直すの面倒なのでこのまま壊れるまで使います。リングは取り外すことを考慮してセロハンテープで固定しただけにしてある。


撮影が難しい光り物は、これを使っても難しい。LEDの写り込みがかなりある。


これも撮影が難しいプリント基板。左がLEDライトを使った物。シャッタースピード1/80秒。右は自然光(PM2:00頃)+蛍光灯。シャッタースピードは1/4秒。ぶれなかったのはレンズを机に着けて撮影したため。


回路図 <−GIFファイル(LED34,43,Q12,Q13,R15の部分は設計ミスなので参考にしないこと このままだとLEDに電圧かかりすぎです)

EAGLE回路図&プリント基板パターン

調光プログラム <−MikroBASICソース&HEXファイル

LEDライトパーツリスト
品名、品番 型式 数量 単価 価格 購入先 備考
プリント基板 100×75 サンハヤト30K 1 \504 \504 千石電商  
LED1〜59 OSPW511A−Z3 6 \450 \2,700 秋月電子 ※1
Q1〜Q21 2SC3325 2 \200 \400 秋月電子 ※2
抵抗 R1、R14 1kΩ チップ抵抗2125サイズ 1 \210 \210 千石電商 ※3
抵抗 R2 330Ω チップ抵抗2125サイズ 1 \210 \210 千石電商 ※3
抵抗 R3〜R13、R15〜R23 22Ω チップ抵抗2125サイズ 1 \210 \210 千石電商 ※3
PIC PIC12F675  1 \110 \110 秋月電子  
VR1 10kΩ  1 \100 \100 千石電商 店頭で購入、ネットショップにあるか不明
AC−DCアダプター 12V1.2A NP15-1S1212 1 \650 \650 秋月電子  
D1 ツェナーダイオード 5V 1 \21 \21 千石電商  
塩ビキャップ 外形70mm 1 \210 \210 コーナン  
つまみ B−15 1 \105 \105 千石電商  
合計 \5,430   
※1.1パック5個入り¥300だったが、10個入り¥450に値下げされたみたいだ
※2.20個入りで販売されているので19個余る
※3.抵抗は50個単位の販売


早くも壊れた <−MOVIE 設計ミス部分が原因でLED2個が、この後5分後に昇天した。

LEDの代わりにツェナーダイオードを入れました。ツェナーダイオードの定格は0.5Wなので6.8V×50mA=0.34Wとなり、大丈夫なはず。そもそも、この列にダイオードを2個しか入れていなかったのはレイアウト上2個しか入らなかったというのと、2SC3325のVceSAT分の電圧降下があるので大丈夫なんじゃないの...とかいういい加減な設計だったのだ


念のため実験してから、修理完了。